踊り候え 鴨居玲

7月20日で終わった展覧会。

東京駅ステーションギャラリー「没後30年 鴨居玲 踊り候え」展。告知にあった「出を待つ道化師」の絵が、やたら気に入った。

どんな人?

「踊り候え」風来舎刊を読んだ。

1985年、排ガスで自死。何度も未遂を繰り返した後だった。本は89年の発行だ。

40代の遅いデビューながら、たちまち人気画家となる。日動画廊が支えた。現在も、彼の作品は売れるので、どの画廊も「高値買い取り」をするらしい。

集客も堅いから、ステーションギャラリーは展覧会をやったのだろう。

まずもって、いい男。ハンサムなのに玲という性差を超えた名前にしびれる。下着デザイナー羊子の弟。

そして、描く人物の表情があいまいなのも、見る自分に仮託できる。

・私が目の表情を画面に描きこまないのは仏像の影響なんです。

安っぽい仏像は視点が定まっているらしい。表情が1つだけ。多くの人に語りかける仏像は、ちょっと斜視で焦点がない。

そういうものなのか。描く人の性格を一つにしないために、

・目の玉を描いてないんです。

言われて、目をあいまいにする絵を初めて見た。

本人は言われるのをとても嫌がったらしいが、とにかく達者だ。

売れれば売れるほど、本人を追い込んでいったのか。鑑賞されることに耐えられなかったとか。