風景描写が心理描写になる清張さん

ブラジル・リオのカーニバルは、19日になって歌と踊りのパレードで最高潮のおり、皆様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか? テラテラに光るチョコレート色した肌を、この目で見たいよ。

うぅ〜、寒む。

・本日のおすすめ。林檎殺人事件です。

・歌詞がくだらなすぎて…。今の時代だったら絶対に売れてないでしょうねー笑

「音だっち」ツネツネから送られて来ました、郷ひろみ。懐かしい。おもわず、ストーリーを書き取っちゃいました。

・殺人現場に、ガブリと歯形くっきりの真っ赤なリンゴが落ちていた。

・謎がナゾを呼ぶ。探偵も登場。

・歯形には、虫歯の跡があるので、探偵はホシがキャンディ好きとにらんだ。(鑑識課の職員は優秀なので、虫歯跡もめざとく発見)

・聞き込み、張り込み、尾行をする。

・闇にまぎれて容疑者登場して、探偵は失神する。(なぜ失神するのかは不明)

・あぁ、アダムとイブがリンゴを食べてから、後をたたない
男と女の愛のもつれ。

って、あなた。かすかに、リオのカーニバルのような呼子の音もするし。愉快じゃぁ。

松本清張さんに聴いてもらいたかった、林檎殺人事件。

「清張とその時代」郷原宏著を読み終わって、ぐったりしていました。

清張さんの魅力は、やはり、「身代わりで苦労してくれる」ところでしょうか? 傲慢な言い方かもしれませんが。

微細な自分の暗部を、ごまかさないで生きようとすると、作品は鉛色の、土気色の光芒を放つ。そして、尾を引く。

年代物のタイル張り洗面台を見た時、「あぁ、なんて清張さんなんだろう」、こういう風景を見逃してはいけないと自戒させられる。

著者は、すでに「松本清張事典決定版」を著いている方。ということは、筋金入りの清張研究家なんですね。知りませんでした。

・父の山河 海峡の灯 流転の川 彷徨の春 凍天の星 風塵の坂 鵲(かささぎ)の距離 泥砂の花 

目次に並んだ章立てのタイトルです。なんだか、清張さん自身の小説のタイトルのようですね。

ここまでが、明治42年2月12日広島で生まれて、昭和28年1月に「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞し、12月に単身上京するまでの評伝。

・冬の夕立 夜明けの靄 怒濤の時 霧と砂 山巓の風 遥かな旅

平成4年8月に長逝するまでの記録が続きます。昭和28年に、すでに短編11作を発表。29年13篇、30年23篇、31年33篇。

もう、埋蔵量が違います。そして、目次「怒濤の時」から、文字通り怒濤の量を発表していく。

映画にもなった「鬼畜」は、昭和32年に著いていました。「点と線」と同年。

タイル張り洗面台ととも、白いカバーのかかったソファも清張さん的アイコンです。つまり、彼が書き尽くした巨悪、権威の象徴。忘れない怨念・憎悪・遺恨。気取って言うと、ルサンチマン

怨念で思い出しました。

先日、そば屋に入ってカツ丼を食べる。注文したら、「前金でお願いします」と言われ、おとなしく払いました。そういう店なんだ、と思って。

ところが、後から来店したお客には、前金といわない。なぜ? どうして僕だけ?

ムカッときましたねぇ。もう2度と行かない。行くもんか。これ怨念。清張さんの百万分の1のルサンチマン

レオン・ラッセルで解毒しよう。慰めよっと。