基準は、好きか嫌いかで
通学しなければ、出会うことがなかったであろう人々がいます。ロックバンドでドラムをやっている兄さんも、その一人。
彼から「おや?」という言葉を聞きました。
「ビジュアル系バンドを見た自分のおばあちゃんが『あでやかで、いいわねぇ』と言ってました」と。僕は散歩する時は、世のじいちゃん・ばあちゃんをポケットに入れて持ち歩きたい派です。
おもしろい風景に出会った時、ベンチで休みたい時、ちょっと喋りたい時などに、やおらポケットから出して、「ねぇ?」と話しかけると、じいちゃん・ばあちゃんが口をもごもごさせる、そんなシーンを想像して散歩している次第。
僕は「快感したがるのは女、解説したがるのは男」と男女を定義しているので、この、あでやか発言ばあちゃんも、正直な人だ、ポケットに入れておきたいと願った次第。
そして、死ぬまで解説したがるのは男。
解説も松竹梅のクラスがあって、写真の本「意地悪は死なず」は、解説も松の特上クラス。ウルトラ松。お一人様1万円のチケットでも完売するほど芸のある解説をします。読んでも読んでも、笑いを含んだするめの味わい。噛んだ後に、呑み込む。
山本夏彦 山本七平の御両所。すでに泉の下に眠っておられますが、あちらでも、昆布茶などすすりながら歓談していることでしょう。ああ、その場にいたい。
読むと、死語がいっぱい出てきます。
死語といっても、たいがいは伝統から生まれた言葉ですから、ニュアンスがあるんです。体に陰影がある言葉が貯まっているので、息づかいのようです。
・欲ばりとやきもち
・流行がすべてである
・意地悪は死なず
など、未来永劫で不滅の発言をするアバンギャルドじいちゃん2人。
数年前の、大滝秀治のコマーシャルを回顧。若者が「地球温暖化が〜〜」とたたみかけると、すかさず大滝じいちゃんが一喝「おまえの話は、つまらん!」。
翻訳語は解説をし、日本になじんだ言葉は感情=快感するか否かで立ち向かう。
するって〜と、なにかい?
男も使う日本語ってヤツは、性差に関係なく、女性のジェンダーで語り継がれてきたってことかい?