成城学園、駅前商店三題ばなし

ORGANIC Gourmet Coffee。ブランド名はKilambe。中米はニカラグアの産。 

写真家の友だち「カメだっち」から前にもらったコーヒー豆。豆ですから、挽かないといけない。でも、ミルは無い。

買えば安いもんでしょう。でも、普段は挽いた後の粉を買うから、1回こっきりで使うこともないし。

成城学園前上島珈琲店で、コーヒーを飲んでいた時に、ひらめきました。

「あのぉ、豆を挽いてもらえるでしょうか?」

「えぇ」

「料金はタダ?」

「もちろんです」。

あぁ、よかった。もらって以来の胸のつかえがおりる。ミルはレモン絞り器とか、クルミ割り器と一緒。一生で、3回使うか使わないかの道具です。

世界各国からのコーヒー豆を直売しているから、上島珈琲店は、いかにも成城学園のイメージどおりの店。

足が止まったのは、(有)モナード。

「住み込みアルバイト募集中!」と、店頭に大書してある。

住み込み、ですよお客さん。続いて「商才と事務処理能力だけは絶対必要です」。下に、本文がある。

・当方子無しの為、亡母(後妻)の様な女性、又は坂本龍馬大政奉還)の様な男性希望。

更に、店主の履歴が続く。

・当方中学剣道部部長、大学全国経済学部代表達と討論、父厳命でスラム街労働等々。

・低学歴(小3中退母)や身障者(片足びっこ父)でも、当方の職種上は殆ど支障無しでした。

何屋さんか? と看板を見直す。事務機器と情報ソフトウェアの店。

・話題のインターネット、提供開始致しました。

・少々古い商品の売り切りセール! 文房具・事務用品の店内奥半分ご奉仕コーナー設置の(再度!)挑戦!

・4割引!(利益ゼロ・±α)+¥400(固定粗利)

思いが、地球より重い。ビンビン伝わってきます。でも、濃すぎて店内に入れません。

うって変わってカワキタ商店。

「味噌量り売り」の板が架かる。「新米」と書かれた米袋も店頭に並ぶ。ローカルをセンスよくまとめた店。このテイストの店、よく見かけるでしょ?

「量り売り」ってとこが、懐かしい。今は、ことごとくパックになりました。

「からうま味噌」「ねぎ味噌」「生姜みそ」と、変わり種の味噌もある。この手、ご飯にもってこい。

新米も、ズラリ並ぶ。

こしひかり、ひとめぼれ、あきたこまち。これは、聞いたことがある。こしいぶきふさおとめつや姫、ゆめぴりか。これは、初めて聞く。中には、ミルキー・クィーンなんてのもある。

店内に精米機があり、客の好みに合わせて、玄米から白米まで段階調整して売る。こだわる人が、いるんだね。

ここまでくれば、お気づきでしょう?

生産者としっかり連絡を取り合って、売る物を厳選してる米・味噌のセレクト・ショップ。職人が作った食品群。

宇多田ヒカル母、藤圭子どうでしょう?

1927年創業、宮崎屋球三郎商店のアネックス店舗。

「会社にデザイン部があるんです」。

納豆や油揚げを置いてるのは、わかる。どうして、Tシャツや携帯ストラップや陶器を売っているのか訊くと、大坪さんが教えてくれる。

POPや商品説明のチラシは、すべて大坪さんの筆ペン。

「黒・朱だけじゃなく、現在は青・緑・茶色の筆ペンもありますよ」と、彼もデザイン心得がある。こういう人が、伝統食材を革新していくんだ。

Tシャツ、買いました。

柄は、カメ。でも、甲羅のところがお茶碗を伏せたかっこうになってる。

見かけたら、それは僕です。