先生は透明骨格標本づくりのプロだった

興奮したので、つい5回連続で海洋大学のワークショップのこと書きました。

4日間開催されて、最初と最後の日に参加。

そもそも、このプログラムは日本学術振興会科研費の助成で行われたものでした。とっても学術なんです。

東京湾の海を考える。

「俯瞰景」というプリントが配られる。

・外側に、複数のテーマが取り囲む。

食・漁業、自然物・人工物、港・船・ロジスティック、釣り・散歩・ボートなどのレクリエーション、工場・自然再生エネルギー。

・そして内側に、海洋大学が研究している4つのテーマの相関図が描かれている。

水質、プランクトン、藻類、魚類。プランクトンと藻類の実験は、専門的すぎると思ってさぼる。魚類はシロウトにもわかりやすそうなので参加。

河野博教授は、小田和正似。学術じゃないことに、すぐ目がいく。魚類学研究室勤務で、いわば主宰者。

さて、最終日の魚類。

東京湾には、どんな魚がいるか? という話だと思ったら。

いえ、もちろん、そういう話もしました。しかも、1900年「東京湾漁場調査報告」と、1971年「東京都内湾漁業興亡史」を比較して、魚種別の漁獲量推移の説明から。

科学者というのは、実に地道に、たゆまず、調査結果だけを根拠に思考する人々なんですね。情実が入り込まない。

「そこんとこ、曲げてお願い」なんて考えない。気が利く科学者なんて信用ならない。

講義についていけなくても、おとなしくしてました。

結論。

姿を消したのは、アオギスとシラウオ。漁獲が減少したのはサワラ、イワシ類、ニホンウナギ。最近は、スズキ、ボラ、マハゼが穫れる。

後半は、マハゼの胃の内容物を顕微鏡で見る授業。

生態系をわかるには、何が何を食べているかを調べるのが一番。メイシー・グレイ

と直球で問われると、我が人類は本来の生態系を逸脱した、傲慢不遜な食を営んでますよねぇ。

餌として体内に入ったもののうち、軽いものは体外に、重いものは体内に。重いものとは、窒素と炭素ですって。

用意されたマハゼは、赤ん坊と幼稚園児くらいのもの。

「仔魚 → 稚魚 → 若魚 → 成魚とあって、各段階も期に分かれてます」。それを顕微鏡を見ながら、針で解剖する。

仔魚は、浮遊生活をしてプランクトンを食べる。稚魚は、着底生活をしてゴカイなどを食べる。

ことがわかる筈なのだが、僕はグチャグチャにしただけだった。

それにしても、キレイでしょ? 赤と青の透明骨格標本。河野博先生は、透明標本づくりのベテランでもある。

2日もワークショップに通えば、同じテーブルの人と仲良しになる。名刺をもらってびっくりしました。

東京海洋大学 放射性同位元素施設 第1種放射線取り扱い主任者」の女史。もう、どんな頭してんでしょ?

「海洋大学にいるのに、海洋のこと知らなくて参加しました」。持ってる知性、求める知性のレベルが違い過ぎるから、かえってラク。友だちになりたいね。