一冊入魂だから、本は重い

この15年で、書店8000店が消えたらしい。

ほとんどは、パパママストアだろう。スーパーやコンビニができて、廃業した八百屋・魚屋とどちらが多いのだろうか。

熊本にある長崎書店の長崎健一さんは、家業の本屋を継いで帳簿を見たら、真っ赤っかの経営状態に驚いた。

なんとか立て直そうと、絞り込んだこと。

外商をやめた。学習参考書も扱わない。農業書・工学書もおかない。アダルト雑誌・青年コミック・競馬のノウハウ書も。

あらためて、まんべんなく品揃えするとは、特徴のない書店と同じことなんだ。

「善き書店員」ミシマ社刊。

全国から6人の書店員が登場する。著者は木村俊介さん。本人は、インタビュアーと名乗る。普通の人々のオーラルヒストリーを書き留めることを目指してる。

有名人の本は、だいたいゴーストライターが書いている。彼もその仕事をやってきたが、本人はインタビュアーという立ち位置にこだわる。

書店員の話し言葉のつながりに無理があるところがある。素直に、Qの文章として木村さんが出てきてもいいのにな。

ところで、書店経営のこと。ほんとに、たいへんなんだ。離職率が高い業界。「本が好きだから」では、1ヶ月もたない仕事。

1つは、接客業であるという点。知的財産という思い込みが、これを勘違いさせる。

2つめは、荷解きと返品に追われるバックヤードの肉体労働。← 引っ越し時に、本を段ボールに入れることを思い出そう。それを毎日毎日。

3つめは、興味のない分野を扱う苦痛。

サバイバルした、まさに生き残ったとした思えない6人の書店員。友だちになりたい。

Mark Pritchard