まだ始まったばかりだ
2月に、3Dプリンターが稼働しているのを初めて見た。
プリンター = 印刷機。これで、どうして立体が作れるのか不思議だった。インクをどれだけ重ねても立体にはならないだろう。
この日は、キーホルダーを作る実演。
原料は、巻かれている黄色の樹脂。これがプリンターに供給されて、1層ずつ積み上がっていく。
途中で止まったりして、完成に30分程度かかった。完成品も、表面がギザギザ。
3Dプリンターでピストルを作り、銃刀法で捕まった兄さんがニュースになったことがある。熱意は、操作の困難さを乗り越える。
3Dスキャナーと合わせて、フィギアを作ったニュースもあった。
でも、「その程度?」という印象はぬぐえない。なぜ、これが革命的なのか?
「SFを実現する」講談社現代新書刊。
SFといっても、サイエンス・フィクションにあらず。ソーシャル・ファブリケーションのこと。
3Dプリンターや切るカッター、穴をあけるミリングマシンがパソコンを介して物が作られる工房。工作機械のファブ工房。
それが、地球規模のネットワークで結ばれると、どんな未来が描けるかの本。
生産するとは何かを考えている。ちなみに、ファブリケーションは製造の意。
現状は、玩具・アクセサリー・文具・雑貨しか作れない1.0。著者の田中浩也さんは、2.0へステップアップし、3.0や4.0の状態に進んでいく世界を、おぼろげに見透す。
分子で構成されている物。一度作ったら、元には戻らない。使い終わればゴミにしかならない。
それをゴミにせず、分子に戻せば何回でも、色形サイズを変えて、別の物にもなる。あるいは、個人のニーズに合わせた1点ものができる。
大量生産大量消費のソーシャルを、ファブリケーションで解決できないかという想い。
チマチマしてなくて、見事だ。
横浜の街づくりに、ファブをコンセプトにした提案をしている。