鬼の哭く山 宇江敏勝

ジャケ買い本。

「鬼の哭く山」新宿書房刊。鈴木一誌さんの装幀。

つい1ヶ月くらい前に、京橋のフィルムセンターで鈴木一誌さんの話を聞いた。

自らすすんで素材を集め、その集め方が徹底している。これが作品を深いものにしていたのだ、と納得した。

話は、キャリアの始まりにも触れていた。

学生時代から映画人と付き合っていたので、映画の本で作品を蓄積していったのだ。

僕はむしろ映画本より、思想系の本の装幀で名前を覚えた記憶がある。

「鬼の哭く山」も、どれだけの原画を集めただろうか。それを濃いベージュとグレーと水色の3色使いで、熊野の霊験を見せる。

本文にある北斎漫画。役小角(えんのおづの)と前鬼・後鬼。

宇江敏勝は三重県の炭焼きの家に生まれた。林業やりながら文学を目指し、熊野古道語り部となる。

新宿書房は「宇江敏勝の本」全12巻をすでに出していた。