売れない芸人は暖かい

見たかった映画「イリュージョニスト」を見る。

シルヴァン・ショメ監督を見るのは、「ベルヴィル・ランデブー」以来2作品目。 この時「アニメもこういうのを見たかった」思いがあったのです。 ストーリーも良かったが、色使いに驚きました。

パリの街の色がそっくりそのまま再現されていました。 確か、景観条例で商店も家も色に規制があると聞きましたが、「そう、これこれ」と滋味のある色彩構成。



も一つは、もちろんジャック・タチの脚本。彼の喜劇映画はリアルタイムには見ていません。けれども、「ぼくの伯父さん」の主題曲は耳にしていました。

ピアノの、なんてユーモラスなことか。愉快な曲だなぁ、って。

今は無い六本木の「ウェーブ」で、タチ伯父さんの主演・監督する映画をまとめて見ました。 なりたい理想の伯父さんでした。 1982年に天国に行っても、彼は相変わらず長身をもてあましながらパントマイムのように暮らしていることでしょう。



そして、肝心の「イリュージョニスト」。 時代遅れの手品師が、誰もいない客席に向かい、淡々とシルクハットからウサギを出してみせる風景。 ところが少女にとっては、不思議なことができる手品師は、魔法使いのように映る。 


エピローグは、申すまでもありません。 なんだかヒラリー・スワンクの「ミリオンダラー・ベイビー」を思い出しながら、最後のタイトル・ロールを見てました。

使われた楽曲のクレジット、ほとんどセリフのない映画に効果的でした。