にじみ出るおかしさの小三治師匠
通学以来、音といえば楽曲ばかりでした。一回、耳をプラス・マイナス「ゼロ」にもどしたくて、久しぶりに落語に向かいました。
柳家小三治師匠の独演会。
半年前に行ったのは、品川のとなり駅の大井町でした。ご当地に合わせて「品川心中」。例によって長い長いマクラ。師匠のCDには、マクラだけのものがあるほど人気があります。
今回の会場は「銀座ブロッサム」という中央区の施設でした。僕は初めての訪問でしたが、ここではすでに
「銀座・日本橋落語会」が5回目を迎えていたんですねぇ。主催はジャパン・カルチャー・ネットワーク。
今回も、長い長いマクラ。
東京に都電が走っていたいた時代の、師匠の修行時代。人形町と馬喰町の描写。
馬の善し悪しを鑑定し、売買する馬喰(ばくろう)が住んでいたから馬喰町。町はまた、宿屋街でもあった。というのも、江戸時代初期に幕府は旅人を統制するために、馬喰町だけに宿屋を許可したということです。
そこから、いよいよ噺の「宿屋の富」に入りました。富とは、富くじ=宝くじのことです。
安宿に長居する、借金で首が回らない男のストーリー。地球を7回り半するほどのホラを吹いて、気のいい主人をケムリにまくことから始まる、おなじみの噺。
おなじみでしたが、その舞台が馬喰町とは知らなかったなぁ。というのも、僕は通学前散歩で何回も足を運んでいましたから。次回「商人宿」っぽい安宿をさがしてみよう。
もう一席は「小言念仏」。
小三治師匠の脱力と繊細が、もっとも表現される噺で、僕も大好きです。
どうしようもなく「めんどくさがり屋」のくせして、どうしようもなく「細かい」オヤジ。居並ぶご婦人がた、大口を開けて笑ってました。
とうの昔に「あきらめた」自分の亭主を思い浮かべているのでしょうね。