知恵のキッチンウェア
僕には、人生の背骨のような先生が一人だけいます。彼は自動車のエンジニアでした。開発経過で、いろいろなことを教わりました。中でも、「そこまで考えてクルマを開発するのか」と、深く、印象に残っていることがあります。
「家庭用品売り場を歩くのが趣味なんです」と、彼はつぶやきました。
「何か、理由があるのですか？」と、僕。
「たとえば台所用品を見ていると、どんな料理をつくる道具なのか？を知りたくなりますね。そして、この道具は、どこを握ったりどこを押さえたりするか、形が使い方を伝えている。説明書なしで」。
モノづくりをやるには、ここまで考えて仕事に取り組む。一生、彼についていこうと決心した瞬間でした。
ですから、キッチンウェアを見ると、僕は先生と歩いているように感じるのです。岩本町ご近所散歩１６社目。
いかにもお洒落なキッチン用品のショールーム。中に入ると、それはそれはセンスのある商品群。一点一点を見入りました。どこのメーカーですかと訊くと「貝印です」とカウンター嬢。
「え？ 刃物の貝印ですか？」
だからシロウトはコワイ。もはや、貝印は刃物だけでなく、あらゆる台所用品を扱っていたのです。知らなかったなぁ。ショールームはデザインの優れた輸入品も数々ありました。
夏に向かう季節なので、僕は写真のアイスクリーム・メーカーにご執心。頭の中は、これの１０倍サイズのもので一気呵成に作って、それをチビチビ一人で楽しみたいとい夢の妄想が広がりました。
さて、本日も友人・寺門常幸さんからおススメの楽曲が届きました。いつもありがとう。中島ノブユキさんのレクイエムです。皆さん、楽しんでください。
