終わりの始まり

唐突ですが、岡田暁生著「『クラシック音楽』はいつ終わったのか? 音楽史における第一次世界大戦の前後」を読みました。

僕は、NHKで放映された「映像の20世紀」が未だに忘れられません。まず、加古隆さんの気宇壮大な「パリは燃えているか」の曲。メロディは1回で覚えました。そして、もちろん100年間に残された映像群。

わけても、貴重な第一次世界大戦の映像。僕の親父は1913年生まれ。14年7月に大戦は始まりました。「クリスマスまでには終わるさ」と楽観的でしたが、18年11月まで続きました。

これが、本を手にした最初の理由です。



そして、2番目の理由。

本を読んでいてわかったのですが、聴いたことのある作曲家たちが、この時代を生きていたこと。

・サン・サーンスは、国民を鼓舞しようと「ラ・マルセイエーズ」を指揮する

リヒャルト・シュトラウスは、イギリスにあった銀行預金を没収される

エリック・サティは、伍長の階級で従軍

ドビュッシーは、「ゲルマン民族を一掃せよ」と発言

ラヴェルは、ジープの運転手に志願するも、赤痢になってパリに送還

どれも、歴史の教科書から抜け出て、臨時ニュースのように感じませんか?



そして、ほぼ大戦終了とともに、18世紀にバッハから始まった「クラシック」も終わるという話。ということは、クラシック音楽のリアルタイムは、たった200年ちょっとしか歴史がないということでした。

(追加で)ということは、世界各地の民族音楽のほうが、はるかにクラシックなのではないでしょうか? いやいや、おもしろかったなぁ。

人文書院