耳試しのクラシック
「全然違うでしょ?」と言われて、全然わかりませんでした。クラシックを永年聴きなれている人は、違いがわかる。僕は、それがとても不思議でした。どういう耳をしているんだろう?と。
CDをパソコンに取り込んで、現在3ヶ月くらいになります。中にはクラシックもあり、自分では聴いているつもりだったので、生意気にも、ここらでナマを聴いてみて、「どれだけ楽しめるか」試してみたかったのです。
品川区の区民管弦楽団は、都内でも結構長い歴史がある。そうですか、じゃ、それにしようっと。
大井町の「きゅりあん8階の大ホール」訪問。日頃から練習をしている品川区民の、お披露目ということでしょうか。お客さんはどことなく演奏者の家族・親戚ご一同という感じで、僕もなごみます。
モーツアルトとラフマニノフとブラームス。そうですか。誰が何だかわかりませんが。そんな時、渡されたプログラムを読めばいいものを、「事前知識を入れたくない」という、いつもの意地っ張りな性格。
結論を申せば、モーツアルトの歌劇「ドン・ジョバンニ序曲」は楽しかったです。
ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番は、オロオロして「奏者に申し訳ないなぁ」。これは、オーケストラとピアノの掛け合いがおもしろいのです、とプログラムにあって、そうなら事前に読んでおけばよかった、と。
休憩中に、いかにも日常会話のように「次は、ブラームスの2番」という声が聞こえてきました。改めて、僕の身の回りには、こういう人がいないなぁ。いて欲しいなぁ、これから出会いたいなぁ。
聴きながら、サガンの小説「ブラームスはお好き」のシーンをさがしてました。プログラムによれば、田園の風景を描いているそうです。
そして、アンコール。終演して、娘同伴のお母さんに訊く。
「最後の曲、楽しそうな曲ですが、何ていう曲なんですか?」
「何ていう曲なんでしょうね」
「ここには、よく、聴きにくるんですか?」
「今回は、息子がチューバを」
「じゃぁ、今日は幸せでしたね?」
「でも、あんまり吹く曲がありませんでした」と、あくまでお母さんの欲は深い。その他大勢より、チューバが活躍する曲じゃないのが、ご機嫌斜め。
僕は、片付けが始まったステージに近づいて、訊きました。「ハンガリー舞曲の1番です」。
クラシックも、僕は、跳んだり跳ねたりする曲が好きなんだ、とわかりました。