お化け好きですが、何か?

皆さんはアダム・カバット先生をご存知ですか? お化け好きのニューヨーカー。武蔵大学で教授やってます。先生の著いた本は、全部読みました。

・江戸化物草子紙
・大江戸化物細見
・大江戸化物図譜
・妖怪草紙―くずし字入門
・江戸滑稽化物尽くし
・ももんがあ対見越入道 ― 江戸の化物たち

その後、何か出版されたでしょうか? 知ってる方は教えてください。「くずし字入門」は、入門ながら、僕には難しかった。

ご存知ですか、くずし字って? よく黄表紙本なんかで、絵が下に描かれて、上にミミズがニョリニョリしているような文字らしいものがありますね? あれです。

ところが、その字の魅力に取り付かれ、「それを研究課題にしよう」と大学院に進学しちゃった学生がいると聞きました。

就職を期待していた、お母さんが嘆くことしきり。と、カバット先生の耳寄り話。この親不孝学生、好きだなぁ。



お化け、いいでしょ? 提灯とか、唐傘とか、入道とか。あのビジュアルは子供のころから、夜の国の友達でした。

我が日の本には、八百万(やおよろず)の神や九十九(つくも)神がいて、平安・鎌倉・室町時代から、まあ大勢の神様たちの夜行(やぎょう)が描かれてきました。と知ったのは、もちろんオトナになってから。

映画「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」も良かった。かたや、鍋・釜・しゃもじ・徳利のお化け達が、夜道を無駄口たたきながらパレードするの図も好き。

前史を参考にして江戸時代にお化けを造形し、現在の水木しげる画伯に至る過程の中にそびえる巨人が、北斎国芳。というのが、僕の読み。

かたいね、言い方が。とにかく、お化け好きなんです。

6月から太田記念美術館でやっている「歌川国芳」展。武者と妖怪がテーマの前期、むしろこちらに行きたかったのですが、残念ながら見逃しました。



後期は、遊び心と西洋の風がテーマ。デザインのセンスがあり、風刺が利き、事情通で。なにより、絵が上手。

フフッと笑わせて「そうだよねぇ、なるほどねぇ」とオチをつける、何とも言えない、おおらかさと才知。水木画伯に加えて、山藤章二南伸坊のご両所まぜまぜの国芳

年表パネルを見ていたら、嘉永2年(1849)90歳で没した北斎、その時国芳53歳。2人は時代が重なっていたんですねぇ。

4年後の嘉永6年(1853)、ペリー浦賀に来航。この頃、あのヘタウマ「荷宝蔵壁のむだ書」を描いてました。没は文久1年(1861)ですから、明治を知らなくて幸せでした。

彼の天衣無縫と奇想天外は、ほんとにワクワクします。

没後150年ということで、静岡市美術館でも「歌川国芳展」開催中。戯画「金魚づくし ぼんぼん」など初公開が73点もある。12月に東京に巡回するというから、待ち遠しい。



それにしても、我が家にはカバット先生の本は1冊もありません。皆んな貸して、帰ってきません。ま、いいか。

見た国芳絵のなかに「越後獅子」がありました。本日のお慰みは、これ。清々しい。

でも、やはり「あの曲」がいい方もおいででしょうね(セリフ入り)。どうぞ、遠慮なく歌ってください。