歩け、歩こう、歩いたら

僕は台東区・根岸の育ちなので、ゆかりの幸田露伴が好きです。ですが、文京区ゆかりとなると、数でかないませんから、思春期に「あっちのほうが、文化度高そう」と決定づけられました。

樋口一葉森鴎外谷崎潤一郎二葉亭四迷坂口安吾尾崎士郎竹久夢二と、きりがありません。極めつけは、東大・本郷キャンパスがあること。



突然ですが、皆さんは一木努さんって、ご存知ですか? 赤瀬川原平さんが主宰する「路上観察学会」のメンバーで、「建物のカケラ」コレクター。

建物が解体される、と聞きつけるや、現場に出向いて、カケラをもらい受ける人。

僕は、「電信柱の影から」彼を私淑していて、ですから、文京区の下宿「本郷館」が8月1日から取り壊されると聞いた時は、とるものとりあえず、出掛けました。

いましたねぇ、ご同類の方々。皆さん、カメラを手に次々と「歴史」を撮影。

明治38年に建てられた、木造3階建て。過去、何度も見てました。けど、地上からなくなると思うと、周辺のうろつき方も念入りになります。

一部、アルミのサッシやフェンスに変わっているところもあります。これは、つい6月まで住民がいた証し。全体、築106年であることに変わりはありません。

基礎のレンガを1個、入手しました。



本郷館」まで来たので、筋向かいの旅館「鳳明館・森川別館」も見学。と来れば、やはり菊坂にも行かねば。

一葉さんの旧居跡と、彼女が通っていた質屋・伊勢屋。旧居跡の手押しポンプは現役で、顔と手を洗う。気持ちいい。

「鳳明館・本館」を初めて訪ねると、壁に高校名の書かれた札が。「来年、東大を受験する高校生が、キャンパス見学に上京して宿泊しています」。

来年の春、桜咲け18歳。僕は、一足早く赤門をくぐる。すると、ここにも記念撮影する18歳がたくさんいました。

本郷キャンパス、いつ見てもちょっと悲しくなります。内田祥三教授が指揮した「内田ゴシック」建築群。国が総力を結集して作った最高学府の意匠なのに、やはりヨーロッパに追いつけない。でも、だから好き。

龍岡門を出て、「三菱史料館」で休む。疲れたので「岩崎邸」は、また今度ね。佃煮とお新香の「酒悦」に来て、やっと台東区にもどってきました。よく歩いたぁ。

★それでは「音だっち」ツネツネから。僕も、こういうふうに歩けば疲れなかったかも?

・さて、本日のおすすめ。SAKEROCK。愉快、軽快、爽快な楽曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=M9uWLyD1jtQ&feature=related