一回り小さくなった米朝さん

日本のスポーツ報道は、ほぼ、プロ野球報道でしょ? 日本人に、圧倒的人気の野球。残念ながら、僕はあまり関心がないので、TVも新聞も目が行きません。

ですが今回、プロ野球ファンが、試合翌日の朝刊を食い入るように読む心境が、初めてわかりました。反芻する楽しみ。

僕が反芻したのは、「米朝特選落語会」。レビュー記事の文末にある(篠崎弘)さんのおかげで、当日、覚えておきたいことが書き留められました。



人間国宝で、文化勲章を受章した米朝さん。

あの口が悪い立川談志師匠も、米朝さんだけは素直に認めています。「端倪(たんげい)すべからざる」思いがあるのでしょうね。

功労の第1は、絶滅した上方落語界を、復活させたこと。

もともと、そういう歴史があることすら、僕は知りませんでした。上方といえば、もっぱら「ヨシモトのお笑い」と思っていましたから。

落語といえば江戸のもの。「するってぇと、なにかい」が、落語だと。

ところが、上方落語のCDを聴きジャケットを読むと、ほとんどの噺は関西が発祥の地。原話を、江戸の気風に合わせてアレンジしたのが、僕が昔からなじんでいた落語だったのです。

というくらい、廃れていた上方落語界を復活させた功績。

功労の第2は、熱心に忘れられた噺を掘り起こしたこと。関西地方の伝承芸、つまりオーラル・ヒストリー的な噺も、断片を拾い集めてネタにしました。



「ただの落語家じゃない」と察するのか、直弟子・孫弟子の多さもピカ一。狭い世界にとどまる人じゃないので、各界の楽しい仲間と「やなぎ句会」で遊びもします。落語会当日、自身が気に入った米朝句を仲間が詠む(これが、僕には覚えられなかった)。

永六輔さん「人を得て 越後上布の 涼しさよ」

加藤武さん「うちの子で ない子がいてる 昼寝覚め」

矢野誠一さん「籐椅子が 髪ひっぱった 幼い日」

大西信行さん「春の雪 誰かに電話 したくなり」

僕の大好きな小沢昭一さんは「もっといい句の色紙が家にあるのだけど、忘れた」って、いかにも彼らしくてうれしい。

仲間の座談を、静かに好々爺態で聞き入っていた米朝さん。主役なのに、一番口数が少なかった。



★久しぶりに登場する僕の「迷子だっち」神津島レポート。どこでも仲間を作れる人。

・島のcafeで働いている同い年の女の子は、京都の人。毎日のように浜辺を散歩し、中学校のベンチに座って山肌を眺めて過ごしております。

・海沿いの道をてくてく片道30分、毎日の温泉への道もあきません。エメラルドブルーのきれいな海が見える、とワクワクしながら歩いています。

・独身男性も多いこの島ですから、このじゃじゃ馬な私にも何があるかわかりませんね(笑)

・私は昨日東京に帰り、明日からタイへ行きます。島での日々が本当によくて、わたしの半分はまだ神津島にいます。

・島を想って、涙しそうになりながらこの曲をリピートしています。
http://www.youtube.com/watch?v=4iB_lRt8DyA

僕も、学生時代にやったヒッチハイクの日々を思い出しました。