森で聴いた、薩摩琵琶

一度気に入ると、その関連を好きになるのは誰でも同じでしょう。今回は「耳無し芳一」の話。たぶん、小学生時代に初めて読んで、それからまず、怪談や小泉八雲が好きになりました。

次に昔話や瀬戸内海が好きになり、そして小林正樹監督や平家物語へと続く。

平家物語も読んだんじゃありません。CDで朗読を聴くと、読むほど困難ではありませんから、ストーリーが入ってきます。

「芳一」といえば、琵琶。琵琶の生演奏を初めて聴いたのは7月6日のブログで書いたように、つい最近。以来、音色に魅せられていたら、清里でまたチャンスが来ました。

清里の森」の「森の音楽堂」での演奏。山下晴風さんの薩摩琵琶で、平家物語の中から「敦盛(あつもり)」と「先帝入水」を聴きました。



演奏前に琵琶の説明。江戸期、薩摩=鹿児島県の武士たちのたしなみだった楽器が琵琶。明治になって、官軍として上京して来た薩摩人は、なじんだ琵琶を弾く。

度々、明治大帝の御前演奏が開催されたり、市井でも人気だったらしいです。軍人との親和性から、戦後は疎んじられることになる。

とはいえ、本来は正倉院の御物にもあるくらいですから、大和民族は好きだったのでしょう。

事実、絹糸の弦の調べは、初心者にも染み渡る。

言うまでもなく、山下晴風さんの演奏と歌が素晴らしいからでもあります。手元を凝視していると、大きなバチを実にデリケートに扱う。発声も、平家物語の合戦が眼前で展開しているようでした。



「敦盛(あつもり)」。初陣の少年兵と、百戦錬磨の源氏の武将の闘い。息子と同じくらいの敵を助けようとするが、泣く泣く首をとる。

「先帝入水」。源平最後の壇ノ浦の戦いを題にしてました。これは山下さんのオリジナル構成・作曲です。

何度聴いても、文頭の言葉は好き。

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を顕す

両曲を聴き終わった観客の皆さん、宝物を授かったように静寂し、後に万雷の拍手でした。

ちなみに山下さんは、シンガーソングライター小椋佳さんの琵琶の師匠だそうです。

★それでは、「音だっち」ツネツネの好きなアーティスト。考えさせられるタイトル。

・本日のおすすめは、te'です。インストバンドですが、めちゃめちゃ格好いいです

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