一人トントン工作人に会う

19日からの雨が4日間降り続けです。東京はどうですか? 一足早く、夏が終わった印象です。通院している「清里歯科」の奥さんによれば、「例年どおりで、また、9月にちょっと暑くなる」のだそうです。

9月23日が、お彼岸・秋分の日。「暑さ寒さも彼岸まで」。それは清里でも変わらないのでしょうか?

ネグラの近くにオートキャンプ場があります。

クルマで来て、テントを張ることもできるし、丸太小屋に泊まることもできる。小学生は、まだ夏休み。家族で来て、飯ごうでご飯を炊き、カレーを作っている。

僕も経験あります。野外で食べるご飯は、おかずがいらないくらい、おいしい。

もっとも、僕の場合は、家族ではなく小学生の課外授業で、4年間くらい続きました。引率の松沢先生は徹底した性格で、キャンプ終了日は、全員で「人が作った物を全部」拾う。

スプーン、クツひも、あき缶、手帳、花火の燃えかす、テントの締め具。敷地やら小川やら山林やらを、何度も何度も遊んだ場所を見渡して、回収しました。



清里は散歩道が多く、オートキャンプ場の裏手を、思い出を楽しみながら歩く。

ビニールハウスに出会う。中に入る。パイプでできた棚。苗を栽培している農家。「3月になると忙しくて」と、農家のお母さん。

野菜の苗を作って、農家に販売する。米は、高地だから作れません。果樹も、水はけが悪いので作れません、とお母さん。

ビニールハウスとは対照的に、母屋は映画のロケーションに使われるような、絵に描いたような風情。

さらに歩く。

道に沿って、なにやら積み上げた「廃材屋敷」に近づく。看板や案内板、鉄材、古タイヤの山、子供用自転車、ベンチ、石材などが一列に並ぶ。

「おもしろそうな物があるなら、ネグラに持って帰ろうかなぁ」と物色していると、体格のいいおじさん登場。

「今、家を取り壊し中です」。ん? 見上げると、壁をはがして鉄骨だけ残った、家の「なごり」が空に屹立している。

すべて、一人で建てたのだと言う。土地の斜面を利用した3階建て。1階は石積みの壁に、開口部は全面ガラスですから、サンルームだったのでしょう。

工作も、僕とはスケールが違います。鉄・木・石・セメント・レンガで家を作るということは、建機操縦・溶接・木工技術など、あらゆる土木建築に精通していないとできない。

「一人で?」。「そうですよ」。

うなる。単純な話、例えばトラックから資材を降ろすとか、部材の水平垂直を維持するとか、地上で組み立てた部品を上に引き上げることを、一人で出来るものなのだろうか?

機械や道具や操作法を、一々説明してくれました。

なにごとも、分業・共同作業を前提にしていた僕のアタマ。いるんですねぇ、「一人原理主義」。



本業は、看板屋さん。根がアーティストなんです。次々、「作品」を見せてもらいました。

怪獣、キリン、カエル、馬。すべて廃車、廃業、家庭粗大ゴミから作る。捨てられた物や残り物を工夫して、一人工作。「家屋と違って、こちらなら僕も・・・・」。

まいったなぁ。やりたいことを、とっくに実行している人がいました。部材を見て、「何かに使える」と夢想する時間の楽しみ。

改めて、部材を眺める。「市役所の近くに置き場があって、いらなくなった物を持ち込む。欲しい人は小額を払って持って行く」。東京でも、ゴミ業者の市場を一般人に開放してほしいなぁ。



それでは「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」第5弾。ドボルサーク「ピアノ五重奏曲」。22日に演奏されます。

なんて森の風景にピッタリなんざんしょ。