中間にあるのがヨノナカ
来年の7月5日から7日まで、東京ビッグサイトで「国際電子出版EXPO」のニュースがPCに飛び込んできました。いわゆるブックフェアです。
ブックフェアといえばドイツ・フランクフルトが有名でしょ。東京も50カ国、7万人と想定してますから、けっこうな規模なのではないでしょうか?
僕は数回、このブックフェアに出掛けました。数年で、紙の書籍のブースに加え、電子書籍のブースが存在感を増しました。
出版界は、一言でいえば中小・零細企業の業界です。新聞社系、印刷系の一部を除いて。マーケットはほぼ大都市で、仕事場も大都市の地場産業。
ところが電子書籍となると、これはアプリの一つとなりますから、ナショナル・ブランドの大企業がほっときません。
ブースに威風堂々と社名をかかげて、商談をします。残念なことに、アメリカのグーグル、アップル、アマゾンがエベレストのごとくそびえていますから、2番手・3番手の印象はぬぐえない。
来年のブックフェアでは、画期的な商品を期待しています。
今年3月に新書でベストセラーになった「出版大崩壊」を読みました。
結論は「解答なし」。アメリカ3社のような企業が生まれないのは、やはり日本社が合議制でコトを進めるからでしょうか。トップダウンのアメリカと、ボトムアップの日本。
それは、発想のスケールが異なるとも思えます。日本人はチッチャイものが得意。グランド・デザインが苦手なんです。
国際会議で「日本人を喋らせ、ロシア人を黙らせたら会議は成功」というくらい、グランド・デザインを発表するのも苦手。
とはいえ、国民性で仕分けするのは好きでなく、アメリカだって死屍累々とベンチャーがあり、日本にも大言壮士の一発屋がいます。
運悪く、著者の山田順さんは一発屋にだまされました。出版界は未だ「勉強中」なのです。惜しむらくは、彼が編集人のキャリアだったこと。
電子書籍を始めるということは、発行人のキャリアが必要です。編集人じゃなく。似て非なる仕事。
しかも、世界的にみてメディア王といわれる発行人も苦戦する現代ですから、それに連なる業界人の山田さんが「高い授業料」を払うのは無理からぬこと。
まだしも、音楽やゲーム業界に比べれば救いがあるのかもしれません。不況業種とはいえ、依然として1日200点も出版されているのですから。
「紙か電子か」という二者択一を、そろそろやめたほうがいいのではないでしょうか。
話は1992年6月にさかのぼります。もう、20年ほど前になるんですねぇ。つい昨日のように覚えています。
季刊「リテレール」創刊号。表紙のリトグラフは山本容子さん。以来、ファンです。
「リテレール」は、「マリ・クレール」の編集長だった安原顯さんが、満を持して創刊した書評誌でした。当時からスーパーエディターとして鳴らしてました。
目黒図書館のリサイクル棚にあったので、思わず入手。
振り返ると、20年前は出版界はのどかなものだったはずです。けれども通読すると、すでに業界がいかに末期症状であるかがわかりました。
「本」をめぐる環境の悪化、と題した安原さんの編集後記。要は書籍の流通機構へ、快刀乱麻の咆哮。スーパーエディターの面目躍如です。
それを、なしくずしで解決したのが、20年後のアメリカの3社なのでした。
どれもプラットフォームを提供する会社です。コンテンツ
は他人が作り、流通だけを受け持つ会社。問題を解決しましたが、「コンテンツに愛情が無い」のは確かです。
先ほどの「二者択一」に話をもどします。
オーディオのステレオは、1988年229万台→2010年72万台で、売り上げ3分の1。ラジカセは1989年609万台→2010年107万台で、6分の1。
業界では、激減という。反対に、僕はYou Tube全盛の時代に、大健闘だと思う。
紙の本も、最低でもその程度には生き残る希望があるのではないでしょうか。だから、モノゴトを単純化して「わかりやすく」しないでね。ITコンサルタント諸君。
★それでは「音だっち」ツネツネから。福笑いで過ごそう。
・本日のおすすめ。高橋優です。
[http://www.youtube.com/watch?v=nqmXTZmVoVs&feature=related:title=http://www.youtube.com/watch?v=nqmXTZmVoVs&feature=related
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