なごみの水道請負人と会う

皆さんも、これの名前は知らないでしょう。僕は思わず訊いちゃいました。「何ていうんですか?」。

「ハクセンテープっていいます」と彼。

「白線ってこと? ホームセンターでも売られてます?」と僕。

「たぶん、売ってないでしょうねぇ」。

「やっぱり、その筋の店に行かないと?」。

どうしてこんな会話をしているか? 例によって、散歩していたんです。道路工事現場が好きで、端で交通整理する人から、重機で掘ってる人、砂利を撒く人、砂利を固めている人。

わけてもアスファルトを流す人や、ローラーでならす人が好き。アスファルトはぜいたく品、という時代に少年でしたから。

以来の道路工事好き。とある自治体の広報の仕事で、下水道の写真を撮影する時は、わざわざカメラマンに同行しました。

つい最近も、日独交流150周年を記念した「マンホールと向こう側」イベントが、東京都立中央図書館で行われました。

その水道工事。とりあえず一日の仕事を終えて、機械や道具や資材を片付け、彼らが引き上げる直前に、その「白線テープ」が道路に貼られたのでした。

「1巻きで2万円しますから、けっこう高価ですよ」。



それから、延々3時間くらいは彼と話していたでしょうか。

まずは、道路工事の話。

現在、東京では水道管の耐震工事が行われているそうです。世田谷区は東京オリンピックのころに区画整理・道路整備がされて、それも急ごしらえだったので、工事がいいかげんだった。

しかも、出稼ぎの未経験者が急遽集められてやった工事なので、ずさん。わかるねぇ。

ですから、管を取り替えるにも苦労がいる。付近の世帯で断水が起きないようにしながら、新設する工事。どのようにリニューアルするか、手順を教えてもらいました。

なるほどねぇ。インフラ整備も時代の影響を受けるんだ。

「東京の下町はゼロメートル地帯で有名でしょ? 工事中に水が出て来るもの厄介です」。やりやすい現場と、やりにくい現場があるんですね。「新興住宅街では、住民の権利意識が強くて、遠慮しながら工事してます」とかも。

現在の進行中の耐震工事も優先順位があり、病院など公共的な施設の周辺の水道管を取り替え中。理屈にかなってるなぁ。

毎日の暮らしが、どのような施設で支えられているか? なんか都市の裏側を見た気分でした。



次に、道具談義。業務用の道具の話をうかがう。

「安物買いの銭失い」とは、よく言ったもので、結局、日本製の道具は高いけど性能も耐久性もいい。DIY道具をどのように選んでいいのかわからなかったので、この言葉でふんぎりがつきました。

DIYといえば、彼の趣味は淡水魚を育てること。この道もハマると恐ろしい趣味で、理想の装備を求めだすとキリがない。

「アクリル板で2m四方の水槽を作ったんです。計算すると水の重量は2tにもなる。家の床が抜けるのが心配で鉄板を買って敷きました」。苦労人です。

友人に声を掛けて集合し、魚の出産シーンを徹夜で見守る。睡魔に勝てず、皆で起きたらすでに稚魚は産まれていた。

「ひとあたり経験した後、一切をペットショップに売りました。20万円くらいになったかなぁ」。一つでも何かが残っていると、あとを引くので思い切って全部を売る。「知識だけが頭の中に残ってますけど」と。



訊けば、彼のかみさんはフィリピン人。

「毎年、正月休みは彼女の実家で過ごすんです」って、うらやましいことを言う。もっとも寒い冬で、日本の秋くらいの気温。そりゃ、過ごしやすいでしょう。

海も近く、浜辺に掘建て小屋を建てて、一日まんじりともしない。いいなぁ。かみさんの実家のまわりは親戚一同がそろう。「食べるもんでも何でもあるから、ほんとにのんびりしますよ」だって。

今度の正月は、僕も行ってみようかなぁ。

イカーは2tトラック。これでドライブするというのも気分が出ることでしょう。僕が前にフィリピンを旅行した時はマニラが中心でした。ジープニーで近郊も回りましたが、いずれにしてもそれはルソン島のこと。

彼のかみさんの実家は、マニラで乗り換えて、更に1時間飛行機で飛んだ島なのです。

清里もいいけど、冬は寒いのが難点ですから、思い切って南国で暮らすのもいいよねぇ。ビーチサンダルとTシャツで、豚の丸焼きを丸ごと食い。ギャートルズ暮らし、やりたいなぁ。

★それでは「音だっち」ツネツネから。広い夜空を思い出します。

・本日のおすすめ。SBTRKT。
[http://www.youtube.com/watch?v=8W9fGDsKLlg&feature=related:title=http://www.youtube.com/watch?v=8W9fGDsKLlg&feature=related
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