それでも付き合ってあげる妻

僕の友達のかみさんが本を出しました。「ある日突然ダンナが手裏剣マニアになった。」リーダーズノート出版刊。試しに渋谷の書店に行ったら平積みされてました。

コンビニと同じく書店も、限られたスペースに商品を陳列するので、出版社側から考えると目立つように置いてもらいたい。

とはいえ、書店側は売れそうもない本を、目立つような場所に置くようなことはしません。当たり前ですが。

ですから、表紙が見えるように平積みされていたということは、「売れ筋」と読んだのでしょう。まずは、めでたい船出です。



どんな本なのか? コミックエッセイです。手裏剣「道」に邁進する夫に、かみさんがあきれ、ため息をつき、怒り、見守る日常の記録。

手裏剣は、ご存知ですね? て・うら・けん、ではありません。しゅりけん、です。映画TVで、忍者がぴゅぴゅっと投げる、あの手裏剣。

皆さんの中に、日本1億2千万人の人口で、120人とか12人しか興味がないことをやっている人はいませんか?

そうですねぇ、仕事にたとえるならお座敷を盛り上げる「たいこ持ち」とか、趣味でいえば「割り箸の袋」をコレクションするとか。

彼も、12人ぐらいしかいないだろう(あるいは、それ以下かも)と予想されるカテゴリーの一つを担っています。

「なぜ手裏剣?」と、まず誰もが感じる動機。

「遠くから飛んできて、木にザクッと刺さる、星形のヤツ」という思い込みの知識。

「どこで売っているの? やっているの?」という不思議。

何が悲しくてのめりこんでしまったのか、とにかく、友達は手裏剣を自作し、道場を開き、海外進出をもくろみました。

一切を、かみさんが夫観察して本にまとめましたので、読んでみてください。周防正行監督が映画にしてくれないかなぁ。



彼とは付き合いがありますから、全27話の内、聞いていたネタもありました。

松代藩校に出かけたとか、鉄工所に手裏剣の製造を依頼したとか、右翼団体から道場を借りたとか、武道家を集めてイベントをやったとか。

でも、知らない話もありました。

笑ったのは、道場の話。

「門前に架ける道場の看板は、本のシオリのサイズ」って、表札じゃないんだから。

「心配なのは道場破り」って、破るほど手裏剣の修業をしている人がいるのか。

「生徒募集ポスターはおしゃれなデザイン」って、手裏剣のどの部分がおしゃれなのか。

ちなみに写真は、棒状の手裏剣で、現物はけっこう凄みがあります。

ブスブスと古畳を相手に稽古をする僕の「凝りだっち」。外出すると、必ず何かかみさんにプレゼントを買って帰る愛妻家です。

★それでは「音だっち」ツネツネから。「凝りだっち」、こういうのを一般的におしゃれといいます。

・本日のおすすめ。4 Bonjour's Partiesです。
[http://www.youtube.com/watch?v=pmjKgFSF3SY:title=http://www.youtube.com/watch?v=pmjKgFSF3SY
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