笑うとこが一緒なら大丈夫

横浜ゴムがタイヤのCFにチェブラーシカを起用したというニュースを聞きました。うれしいねぇ。

チェブは、何だかわからない童話・アニメのキャラで、猿に似ているけど、やっぱり何だかわからない。

ロシアの「いて当たり前の古典キャラ」。ですから原作者のウスペンスキーさんが73歳で活躍中と聞いて、再度うれしかったなぁ。お達者で。

モスクワ郊外の幼稚園の中に、記念館まであるというから、日本の「あんぱんまん」「オバQ」並みでしょうか? 刺激を受けて、ロシアに新しいキャラ・デザイナーも生まれたことでしょう。



所変わって日本。ベストセラー「日本語練習帳」の大野晋先生が89歳で泉下にいかれた後、教え子達が引き継ぎ「古典基礎語辞典」を出版したニュース。

これも、うれしいねぇ。薫陶という言葉が浮かびました。

辞典は字数制限無しの編集方針だったらしく、日本語学者として言葉の起源と歴史を渉猟した成果は、読み物としても楽しめそうです。

辞典って、意味を引くより読むほうが、よっぽどおもしろい。また1冊増えました。



小沢昭一さんも、僕の好きなおじいちゃんの一人です。現在82歳。

寄席や落語の研究家・正岡容(いるる)さんの弟子。同門には桂米朝さんや、加藤武さんもいます。

小沢昭一的こころ・落語と私」を聴きに行きました。話の内容なんて、どうでもいいんです。彼の来し方・考え方は、今までに充分本で読み、映画を見、ラジオで聴いてますから。

存在だけでいい。古今亭志ん生師匠と同じ。

「貧乏を しても下谷の 長者町。上野の鐘の うなるのを聞く」と、先ずは貧乏礼賛・肩入れで話は始まりました。次に「おふくろが、勤め先からドカベンに詰めて持ち帰ったご飯を食べた」記憶。最後に「新橋にあった金春という寄席で、せこい芸人を『幕』と呼んでいた」だけ。

この3話を、時間内に5回ほど繰り返す。1話ずつ、順番にではありません。

この、おじいちゃん「そのもの」なのが、味があっていい。

彼の前に演じた柳家三之助さんの落語が、あまりにせりふだけの噺で、観客も引きっぱなしでしたから、救われました。



そこそこの貧乏を信条にする「貧主主義」の持論を繰り返した後、「ちょっと、会場の照明を明るくできませんか?」と小沢さんの一言。

「なんだ、今日はあんまり独身がいないねぇ」と嘆じる。「若者に言って聞かせるんですよ。映画でも落語でも、同じ所を笑える人と結婚しなさい、って」。

「自分が笑って、相手が不思議そうな顔をしたら、結婚はあきらめなさい、ってね」。

うまいこと言うねぇ。すべてが含まれていると思いませんか?