布作りまで、広がり出した

読んだことはありませんが「砧をうつ女」という本があったなぁと、砧公園を歩いていて思い出しました。

砧公園は世田谷美術館や桜の名所で有名ですから、出かけた方も多いでしょう。僕は、近所なのに、いや、近所だからほとんど知りません。

東京の公園で、これほど鬱蒼と樹木がある公園もめずらしいのではないでしょうか。エリアによっては「昼なお暗い」ほど。

そもそも、砧(きぬた)って何? 調べたら衣の生地を打ってやわらかくしたり、つやをだしたりする木槌のこと。

そこから、夫の留守宅を守る妻の悲しみを象徴する家内仕事が「砧をうつ」となる。

能楽にもあるらしい。うろ覚えですが、上田秋成の「雨月物語」にも、旅に出た夫の帰りを待つ妻の話がありましたが、あれも「砧をうって」待っていたでしょうか。



そんなことを思い出しながら散歩していると、道のセンターラインにある植栽の手入れをしているおやじさんに出会う。

職人さんではなく、近所で暮らす人。

「PCばっかりやっていると目が疲れるから、楽しみを兼ねて植物を育ててます」と、気さくな性格。

「この花はなんて言うんですか?」「ケナフです」。

ああ、これが繊維がとれるケナフなのかぁ。

「どこが繊維になるんですか?」「たぶん茎でしょう」。

6月に種を植えて、4ヶ月ですでに薄い黄色の花を咲かせ、そして種まで宿す。一気呵成に生きる。

「近くに、まとめて植えた所があり、種も採れますから行ってみましょう」と、彼の後に続く。ありました、2mを超えて成長したケナフが群生して。

僕は、一気に「ケナフの布」を作りたくなって、大量に種をもらう。どんな風合いの布ができるのだろう。工作計画は、今度は布作りまで拡張。



これには、ちょっと事情があります。

皆さんは、麻の糸というとリネン、ジュートはご存知ですね。僕も知ってました。けれど、ヘンプは?

渋谷でヘンプを見た時に「これは使える」と、何を作るか定まっていないのに入手。廃物利用専門でも、たまには工作材料をお金を出して買うんです。

草木染めされた、あずき色、暗緑色、オレンジ色。実に自然なざっくりした色。

今まで仕事ではDICのカラーチップを愛用してましたから、色にはちょっとうるさいですよ。色の効用にもうるさい。

この3色は、繊維というテクスチャーがあるので、眺めていて飽きません。想像が膨らむというか。

ですから、ケナフの布もどんな色合いになるのか、それで何を作るかが楽しみ。

清里には染色、繊維の専門家がたくさんいるので、また教えてもらうことが増えました。

明日、彼の地へ移動。今回はレンタカー。水泳の教室があるので、数日でもどります。

★それでは「音だっち」ツネツネから。ソバカスって、いいよね。

・本日のおすすめ。TIN PAN ALLEYです。
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