第10回写真展「数寄屋造りの猪股邸」

皆さんは成城と聞くと、何をイメージしますか? 

高級住宅地・お坊ちゃまの成城学園石原裕次郎さんが住んでいた町。

今回散歩して、僕は1923年創業のART DRY CLEANING CO.の看板が誇らしげなクリーニング店を見かけて、高級も年季が入っている町と、納得しました。

日本人が、たらいと洗濯板で洗っていたであろう大正11年
関東大震災の年)に、お金を出して衣類をクリーニング店に出す住民がいた。

第10回写真展は「猪股邸」。撮影したら、安易に個展を開けるのがブログのよさ。

1967年竣工した邸宅です。最初は居間、2番目は茶室の写真。茶室の手前には、ちゃんと水屋もありました。

60年代は、数寄屋造りに洋風な暮らしがとけ込む最後の時期でした。

建物の延べ床面積だけで100坪を超えます。ですから、中庭もある。京都の社寺や町家に残る、坪庭と同じあつらえが小さな宇宙でした。

敷地は563坪。庭は枯山水スギゴケを楽しめる回遊式。離れの茶室に向かう、露地の中門の屋根にも苔が一面でした。

苔好きには、桃源郷です。

施主の猪股ご夫妻と、建築家の吉田五十八に、僕が最近知った漆原啓子さんの演奏を捧げます。