写真集を贈りたい人がいますか?
映画も、見たいものを随分見逃してきました。本も、とりあえず買ったり借りたりしてますが、圧倒的に読まないもののほうが多い。
同じく、写真展も。
東京国立近代美術館でやっていた、レオ・ルビンファイン「傷ついた街」を見逃しました。10月23日まででした。残念。
2001年9月11日の数日前に、世界貿易センタービルの2ブロック離れたところに引っ越して来た写真家。
未曾有の事件は、100メートルと離れてない場所で起きました。こういう時は、撮れないものです。撮れるはずがない。
表現できない空白に感情の襞が回復して、向かった先がロンドン、マドリッド、モスクワ、イスタンブール、東京など。
そこで彼は、人間がどれだけ傷ついた顔をして普段暮らしているかを写真に収めた。やむにやまれね衝動でしょう。
写真に撮られていないテーマは無い、とよく言われます。本当でしょうか? いつの時代も、そう言われていたのでは?
僕は、ブログのために日常的にカメラを始めたので、まだキャリアは8ヶ月ほど。テーマ性を語るのは10年後にとっておくとして、でも、写真集は30年間見てました。
写真集は、情報検索して情報処理する態度で見ないほうがいいです。
例えば、
風景ね、ポートレイトね、ブツね、静物ね、動物ね、報道ね、とジャンル分けだけして了解しちゃうのは時間のムダ。
ページを繰っていて、写真家が何を発見したかを探すのが楽しいのです。場合により、映画や文学より饒舌です。
「写真集」森岡督行著・平野太呂写真は、「誰かに贈りたくなる108冊」というサブタイトルが付く点で新趣向(かな?)の編集。
森岡さんは、地下鉄・茅場町にある「森岡書店」のオーナー。昭和2年に建てられた「第2井上ビル」にある写真専門の古書店は、ギャラリーやスタジオに使われるほど美しい。(まだ僕は訪問してませんけど)
彼が推薦する108冊の写真集。写真家が、何に関心を持ったか、勉強になりました。内発されるものは、撮り続けないと見つかりません。
それでは、どんな写真集を誰に?
「ON READING」を、大竹昭子さんへ贈りたい。
「Nadar」を、ロバート・キャンベルさんへ
「東京Y字路」を、辛酸なめこさんへ
「POWERS OF TEN」を、坂口恭平さんへ
「東京長日」を、しまおまほさんへ
「Why, Mother, Why?」を、一青窈さんへ
いやはや、本と人柄のリンクがすばらしい。こういう人と昵懇の古書店主、森岡さんも写真集を出さないかなぁ。
★それでは「音だっち」ツネツネから。若いって、恥ずかしいよね。恥ずかしさをまとめた写真集を見たことがありません。それほど難しいテーマ。
・本日のおすすめ。salyです。