飲まず食わずもあるウォーキング

駅にあるコインロッカーを利用した方は多いでしょう。

荷物を取り出そうと鍵を差し込みましたが、回転しない。「壊れてる?」と、駅員さんに尋ねる。

「お金入れました?」「もちろん、入れました」

「いや、荷物を入れる時じゃなく、今日」「?」

「0時を過ぎると、荷物を出す時に新たにお金が必要です」「え、日付をまたぐと追加料金?」

これ、コインロッカーの常識なんですか? 知らなかったぁ。図書館に返却する本15冊に、ロッカー代は計600円かかった。

前日、あまりに重いのでロッカーに納め、用事をすませて、翌日取り出そうとしたら、このありさまでした。渋谷駅でのこと。

だまされた気分で構内を歩いていると、「駅からハイキング 全227コース」のバッジとパンフレットをもらう。見ると10月1日から12月23日まで、全国で開催されるイベントがびっしり。

そうかぁ。皆んな、歩きたがっているのかぁ。



図書館に返す本の中に、厚さ4cmほどの「メインの森をめざして」もありました。アメリカ東部・アパラチア山脈を5ヶ月かけてトレッキングした加藤則芳さんの本。

5mmほど読み、ノースカロライナ州に到着したあたりで、僕は挫折しました。トレッキングを5年や10年経験している人向きで、今読むにはハードルが高すぎでした。

でも「将来は」と、ねらってます。

図書館の入り口のラックに、これまた11月13日実施の「第85回かち歩き大会」のパンフがあったので、つまむ。

「かち歩きって、なに?」

順位や時間を競うものではないウォーキング。いいねぇ、僕向きだねぇ。

ところが読み進むと、まるで似合わない大会とわかってきました。

飢え・渇き・疲労を体験して、自己への挑戦を目的とする鍛錬の場、ですって。要するに飲まない・食べないで歩くのです。

しかも、43km。マラソンの距離とほぼ一緒。選手じゃなければ実感のない距離です。

新宿・中央公園を起点に、ゴールは青梅まで。「こんなに長距離なのか」と、地図を見れば驚きますよ。

コースを電車でたとえれば、高円寺駅あたりが5km、西武新宿線上石神井駅あたりが10km、田無駅で15km、久米川駅で20km。

新青梅街道武蔵村山で30km、奥多摩街道のゴールで43km。中央線に置き換えれば、高尾山までの距離。

電車ですら、この間、飲まずにいられるか、という距離。

社団法人の青少年交友協会が主催し、文部科学省後援ですから、何事も厳格。標準歩行速度は時速5.5kmとありますから、たぶん僕は新宿をスタートして中野あたりでリタイアでしょうか。



これは、飲まず食わずではありませんが、山梨県清里でも3つの距離コースを設定してハイキングするイベントがありました。

説明によれば、武田信玄が作った軍用道路を巡るコース。その道は、棒道と呼ばれていたらしい。「棒道ハイキング」って、いいねぇ。

そのために、わざわざトレッキングシューズを準備していたのです。

石仏を見たり、小路で買い食いしたり、河原で昼寝したり、水門に立ったりするハイキングがいい。

12月になったら、行けるかもしれない。できれば全国227コースも巡りたいものです。

試しに東京都ウォーキング協会のホームページを覗いたら、ほぼ3日に1回、東京のどこかで大会を実施中。

自然、道、街、歴史、匂いと、ウォーキングって「歩く図書館」のように思えてきました。