シュールもバブルも懐かしい

12月7日にサントリーホールで、ヤクブ・フルシャが指揮してドボルザークスターバト・マーテルの演奏があります。

公演の広告を見て、書いてます。誰? どんな曲? 

1981年生まれのチェコ人。「スターバト・マーテル」に「悲しみの聖母」と訳がありますから、祈りの曲なのでしょう。

ついでにドボルザークチェコ人だったんですね。彼が34歳の時に長女を亡くし、作曲中に次女と長男も失う。

彫刻家の船越桂さんのお父さんが、6日放送のNHK日曜美術館」で特集されてました。彼も幼子を失ってました。

表現者が、過去に悲しみや慰めを音や絵画にしてくれていたので、後世の僕達はトレースして浄化される気分になれる。基本に返れる。大事だよねぇ。



チェコで思い出しました。今年8月から9月にかけて、ヤン・シュヴァンクマイエルの映画、作品展、そして近刊も発行されました。

彼を知ったのも、元はと言えば「僕だっち」仲間がガイドしてくれたから。自分のモヤモヤした思考の「大先輩」に出会えたので安心した思い出があります。

親近感がわきました。

「森だっち」は、生業はデザイナーです。でも、気分はいつも浮遊中。

「あたしは森の妖精でしょ? 女優でもあることだし。街を彷徨するからフラヌールかなぁ。骨付き肉も好きでねぇ」。止めようとしてはいけません。止まるまで、言わせておかないと、と車窓を眺めてました。

行った先は、神奈川県立美術館 葉山。浜辺に建つ美術館。けっこう人出があり、シュルレアリストシュヴァンクマイエルは人気者でした。

建築、地図、解剖、博物、技術、魔術、錬金術、大冒険、グロテスクと、テーマがまず気に入りました。

作品も、ドローイングあり、コラージュあり、セラミックあり、オブジェあり、映像あり。

あらゆる表現方法を試し、やりたい放題感が伝わってくる。シュールって、とてもノスタルジックな感覚ですよねぇ。赤ん坊の視点から、世の中の不思議を眺めている。

稚拙という意味ではありません。



大人になってからは、不思議は夢の中でしか見ることができません。

8月に見たのは、最新作の映画「サヴァイヴィング・ライフ」。夢の中でさまよう、男の物語。

ブログ常連の「音だっち」、手裏剣一筋の「凝りだっち」と3人で、渋谷のイメージ・フォーラムに向かう。

鶏の頭が出てきたり、骸骨が出てきたり。カラーとモノクロがミックスされたり。人々の行進があったり、カラスが頭をつついたり。

ガーターの女が、唇サイズのバッグを持って歩いていたなぁ。視覚だけでなく、「触覚を想像すると」こうなる。

自分の妄想を楽しんでいる。

「何言ってるの、眠ってたくせにぃ」と、映画が終わって「凝りだっち」に嘲笑される。「わかってます? もうバブルの時代はとっくに終わってるんですからぁ」。

あのね。「凝りだっち」だけには言われたくないけど、ウトウトしたのは確か。

空虚を楽しむ渡り鳥ホーボー、悦楽を求めるバガボンド漂流者は、シュールを弛緩して見ますから眠りたい時に眠ます。

★それでは「音だっち」ツネツネから。「サヴァイヴィング・ライフ」のサウンド・トラックに合いますねぇ。

・本日のおすすめ。Delphicです。

[http://www.youtube.com/watch?v=YHhmyyahh4s:title=http://www.youtube.com/watch?v=YHhmyyahh4s
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