こりゃ、オールド・シネマ・パラダイス

いいでしょ、これ。映画館です。正式には本郷にある中央教会の2階礼拝堂。ここで、映画が上映されました。無声映画、活動写真です。

ノスタルジーを誘う映画といえば、ニューシネマ・パラダイス。チェロのヨーヨーマに、トランペットがクリス・ボッティ。この場に似合います。

上映された映画は、「国民の創世」や「イントレランス」で有名な巨匠グリフィス監督。作品の名前だけしか知りませんでしたので、今回の「東への道」が初拝見となります。

主演がリリアン・ギッシュと、こちらも名前だけでしたので、初拝見。都はるみ嬢に似てます。

とても、ピューリタン的な映画。

貧乏な女の子が、女たらしの男にだまされて、私生児を産み、捨てられ、赤ん坊も命を落とす。母にも死なれ、やっと働く場を見つけ、そこの息子から初めての愛を告白される。

過去のある自分が、どうして素直に愛に応じられようか。

あらゆる困難を乗り越えて、愛は成就する。



「困難」の極みは、彼女が何もかもいやになって、家を飛び出し、氷が流れる河にたどりつくシーン。氷塊に乗り、すぐそこには滝が迫る。

彼女の運命や、いかに?

音は、ピアノに柳下美恵さん、フルートに菊池香苗さん。この流氷場面では、ピアノも強い音がでてハラハラ気分を強調してました。

それにしても、この建物ですよ。

森まゆみさんが新聞に寄稿した記事が、拡大コーピーされてフロアーに掲出されてました。

活動写真が日本に入ってきたのが、明治29年。32年には、この中央教会で興行が行われた。えぇ〜、かつては教会は公民館でもあり、ホールでもあったんですねぇ。

関東大震災で焼け、現在の建物は昭和4年のもの。宣教師ボーゲル設計で、チャーチゴシック様式。重要有形文化財

かけそばが3銭の時代に、特等席は50銭。現在、かけそばが300円とすれば、5万円のチケット。エリートじゃなきゃ、映画を見られなかった。

今回使われたピアノは、震災後に購入したスタインウェイ。さぞ高価だったことでしょう。当時、ピアニストは、どれだけ憧れて弾いたでしょうか。

近くには、東大本郷キャンパス

宣教師がインテリに伝道すれば布教が活発になる、という読みがあったらしく、東大の周りには、教会が多いとのこと。

見逃してる建物が、まだまだいっぱいあるね。

次回は、クリス・ボッティのこんなコンサートをやってほしい。