11月は近松門左衛門の2本でした

国立劇場が開場45周年を迎えた今年、記念公演が今年9月から来年4月まで開催中です。

歌舞伎は10・11・12月と、来年1・3・4月に行われます。各月、日本を代表する作者と歌舞伎俳優が登場するシリーズで、いかにも「国立」であるかのような企画です。

つまり、芸術文化の振興に資する企画という意味。サブカルチャーでなく、メインカルチャー

振り返ると、僕はサブカル専門でしたから、メインカルとはどういうものか、これを機に知っておこうと10月から通ってました。

「あぜくら会」という組織も知りました。

劇場の建築が、校倉造りを模した意匠からのネーミングでしょう。会には、国立劇場で公演される歌舞伎、文楽能楽、演芸のチケットが先行申し込みできたり会員割引の特典がある。

ずっと伝統芸能を見続けるならば、ためらいはありません。気持ちはあっても、いつものきまぐれや飽きたらと考えると、ここは、しばらく様子見ということで、ね。



11月の公演は、近松門左衛門の「日本振袖始(にほんふりそではじめ)」と「曾根崎心中」でした。

10月の公演では、上手の2等A席でした。11月は、下手の2等A席。どちらも1階です。

花道の向こう側の席は、初めてでした。舞台を、ほぼ横から見ますから、黒子さんの作業が手に取るようにわかる。

それと、役者が花道で演じる時に、ライトが逆光になるのでまぶしい。

演目は2つ。「日本振袖始」は、時代物。「いざなぎ」と「いざなみ」の子「すさのおのみこと」vs「大蛇(おろち)」の物語。中村梅玉丈と中村魁春丈。

もちろん、「すさのおのみこと」は日本の善のヒーロー第一号で人気があります。でも、僕は悪のヒーロー「おろち」のほうが好き。

舌なめずりして稲田姫を生け贄にし、8つの首で瓶の酒を飲む「おろち」。魁春さんの化粧と衣装が、とてもかわいい。彼を首魁に、あと7人の「おろち」の踊り、集団でかわいい。

もう一つはご存知、世話物の「曾根崎心中」。文楽で有名ですね。

坂田藤十郎丈のお初は、すでに1300回以上演じている、彼の当たり役。演じているのか、お初自身なのか。たぶん、分身なのではないでしょうか。

80歳で、一生に一度の恋をする、この初々しさ。上方の華やかな「こがれ」。

そして、2人が曾根崎の森へ消えて行く愛惜。

常磐津をちょっとだけかじったので、音曲が耳に入ってきました。

こういう、曾根崎心中もあるんですねぇ。