スルーできないので、僕は疲れる

一冊も読んだことがない柳美里さん。でも、「痛い人」とは感じていたので、最新刊「ピョンヤンの夏休み」の広告を見た時は、やっぱり読んでみたいな、と。

息子とともに、幻の祖国へ。16歳年下の同居人男性と10歳の息子。奇妙な家族で向かった、北朝鮮を辿るノンフィクション。

柳さんは、終始、私生活の人です。

彼女が語る北朝鮮像なら、読んでみたい。

僕の予想では独裁体制を語らず、末期症状の経済を語らず、人々をお笑いにもしないでしょう。では、一筋縄ではいかなかった私生活の人は、何を見たのでしょうか?

彼女の本が気になったのは、12月10日〜16日が北朝鮮人権侵害問題啓発週間だというパンフレットを、赤坂でもらったからです。

政府認定では17名が拉致被害者として認定しているそうです。もっと多い印象がありましたが。

煉獄にいる横田めぐみさん、田口八重子さん、増本るみ子さんたち。何十回目の年末を迎えようとして、届かない声が聞こえてきます。

19日、帰宅して驚きました。その首謀者・金正日死亡のニュース。

前々から、気になる人でした。お父さんの金日成ともども、戦前の大日本帝国もかくやと感じるところが。もちろん、リアルタイムで知っているのではありません。

小心狭量で、大言好きで、計画倒れで、挑発が得意。

でも、僕の親父の世代の指導者は、同じ資質で日本を破滅させました。それを断罪するのは、とても簡単。容易ですが、こぼれるものもあります。

戦争せざるを得なかった、という政策の意味ではありません。

どうしようもなく、僕の先祖に似ているという意味。

せいぜい「切れ者と言われて悦に入る、やりての課長クラス」なのに、300万の国民を死なせ、全土に塗炭の苦しみを強いた国家の指導者がいた事実から「足抜けできない」のです。

同胞の血のつながりとして。

同胞なのは、朝鮮半島も一緒。イムジン河を聴いて、寝ます。