初春の道草は、おじいちゃん探し
僕のおじいちゃん好きは、小学生の時からですから年季が入ってます。
ラジオから流れた来た、落語家の声にうっとりしてました。上野・鴬谷・日暮里にまたがる地域はまた、落語家の住まいがあるほどに、銭湯・縁日・板塀の似合う界隈でもありました。
今年の初縁日は、雑司ヶ谷の鬼子母神通で開催された「わめぞ」の、「まちかど古本縁日」。聴いていたのはAI。
「わめぞ」とは、早稲田・目白・雑司ヶ谷のこと。谷中・根津・千駄木の「谷根千」と同じ。
興奮して、家を出る時にカメラを忘れ、現地で気付いて、携帯カメラで初めて撮りました。どうも、手首がグラグラするものなんですねぇ。
古本市は、へなちょこ感があって、とてもいい。出店している人たちも、そこを狙っているのではないでしょうか?
仙台から来たジュンク堂書店の佐藤さんは、イラストを描いてはせっせと缶バッチを製作中。
倉敷から来た「蟲文庫」は、「蟲という字面が好きなんです」と語る女性店主。コケや菌類好き。
学習院の学生たちは、手作りシールを1枚10円で販売したり、フリーペーパー「おてもと」を配布したり。
僕が買った本は、「下駄ばき対談」金子光晴著。再読かもしれないと思いながら。とにかく、何か買いたかったのです。
学生時代のアイドルおじいちゃんでした。
とっくりのセーターを着て、頭はヒヨコのようでした。
対談相手も、田中小実昌、稲垣足穂、加藤芳郎、深沢七郎と好ましいおじいちゃんがズラリで。
「放浪は、憧れでやるもんじゃないよ。やむにやまれずだよ」と語りますが、「どくろ杯」を読んで、僕のヒッチハイク歴は始まったのです。
その足で、赤坂図書館に向かったら、ありました。ヘルマン・ヘッセ。
このポートレイト、いいでしょう? 特に、頭髪。
手紙を読んでいる姿です。撮影者はマルティーン・ヘッセとありますから、家族写真。学校の推薦図書の代表格のような作家ですけど、これで、ヘッセを読みたくなりました。
お正月に読んだ、おじいちゃんシリーズは2冊。
「乱歩彷徨」紀田順一郎著。休筆宣言をして家出すること4たびのところが気に入りました。これほどとは。紀田さんにとっては、浅読み、誤読の極みでしょうがね。
もう1冊は、「怪優伝 三國連太郎・死ぬまで演じつづけること」佐野真一著。
・佐野真一監督による長いドキュメンタリー映画に出演した。私、佐藤政雄が、三國連太郎を演じている。はたして、客席は満員になるかどうか楽しみです。
取材された人に、これほど言わせる力作でした。
三國映画で、僕の最高点は「復讐するは我にあり」。けれども、見なきゃ始まらない他作も盛りだくさんで、ありがたかった。