間を生きるのが黒田さんのオレ流
去年、ぶらりと@btfという名前のギャラリーに寄りました。
場所は、地下鉄・大江戸線「勝どき」界隈。ご存知、高層マンション街。あんな高い所に住んで、感性や情念がおかしくならないのが不思議だ。
それより、目当ては倉庫群。水辺にある、鉄むき出しの連続建築と、出入りするトラック。
寡黙で、ご用の向き専用エリアで、チャラくない。愛想なし。という場所柄に、ショールームとかギャラリーがたまにあります。
散歩途中の「お休みどころ」として、よく寄ります。気分は、ダニエル・ラノワ風。
新年になり、その@btfのマネージャーの辻さんからメールが来ました。
・昨年申し上げていた「黒田氏&長友氏トークショウ」は残念ながら、急遽、黒田氏の海外出張が決まり、期間内のお二人のスケジュールが合わなくて流れてしまいました。
・今年は、長友氏プロデュースのもと<サイレンサー、ふたたび>という企画も@btfで開催致します。
残念と期待。
黒田氏とは、イラストレーターの黒田征太郎さん。長友氏とは、アートディレクターの長友啓典さん。
業界人というより、もはや文化人のポジションのお2人。
黒田さんの個展には、架かっている絵の数に圧倒されました。もともと、「何でも、どんどん、際限なく」描く人です。しかも、「現在、どこに住んでいるか、よくわからない」印象がある人です。
「これだけの原画を、彼は『移住』する先々に保管していたんですか?」と、辻さんに訊く。
「まさか、ちゃんとした保管場所がありますよ」と笑う。そして「今も毎日、送られて来ます」と、本日到着分を見せてくれる。
このエネルギー。いや、エネルギーというより、もっと普段の、おもむくままの平穏な日常なのではないでしょうか?
でも、やり過ごせないものが刻々と湧き、手が動く。
この個展は12月1日から始まっていました。
開始早々、ライブペインティングを実施。2m×4mほどのサイズです。大きいです。
1回描き、納得がいかなかったのか、後日来訪して加筆したのがこの絵。中央の顔の部分です。
辻さんに、案内してもらったのが、トイレ。8畳間ほど広い、白壁にかこまれたトイレ。その壁に直接、魚と鳥の絵が。もう、黒田さん、止まりません。
案内状もいただきました。今回の主旨が書かれてます。
「
生きている。ということは自由で不自由で、やっかいでオモシロイことですよね。
自由な気分とは、自分のイノチをキママにコントロール出来ているようなキモチです。
不自由な気分はその反対で、いつもダレカにイノチをコントロールされている、不安なイラツク気分ではないのでしょうか。
ガキの時から僕はその間を生きて来たような気がします。
オモテとウラ。ウソとホント。ホンネとタテマエ。ジギルとハイド。そんなところをならべます
」
個展は1月29日までやってます。