さざえさん的、長男坊誕生会の顛末

そういえば、ニューヨークのフルトン・フィッシュ・マーケットは、東京の築地とアメ横を足したような下町風情のある地域でした。

そこでの、ちょっと、いい話。

魚河岸のお兄さんたちが働いている姿を眺めていたんです。

だいたい取引が終わって、空気が和やかになったので、僕は積み上がった木箱なんぞに腰をおろして一服中。

そこに、冷蔵庫サイズの黒人がやって来て、「1ドルくれないか?」と寄って来た。

「何に使うの?」「ホットドックを買うので」。片手には、花火を2〜3本手にしている。

「ホットドックを買って、花火を挿すんだ」「え?」。

「今日は娘の誕生日なんだ」。

まいったなぁ。もっと英語がうまかったら、僕もご相伴に預かって、娘に「おめでとう」と言って家族の会話に加わりたかったよ。

大きなお父さんと、小さなバースディ・ドッグ。

以来、「照れずに」家族の誕生日はやるものだ、と10年以上は続けているでしょうかね。

今回は、長男坊の誕生会。

近所のイタリア料理店で、「さざえさん」的祝宴じゃ。曲は、ちょうどカーク・フランクリン的。

先に、アメ横仕入れたカニをプレゼント。

そこでの、ちょっと、いい話。

年末年始は、カニは高価。ところが、1月も10日を過ぎると、買手もあまりいないから、どんどんまける。タラバだろうがズワイだろうが、ね。

「ロシアから来た」と売り手の兄さん。なんだか、可笑しいね、カニが団体旅行で日本観光に来たみたいで。

店は、MAR-DE NAPOLI。ここが本店で、支店も6つある。

料理は、おいしい。10品くらいをちょっとずつ食べて、お腹がいっぱいになった。

コックさんはここで腕を磨いてから支店に配属されるのかなぁ? 土曜日なので、厨房は忙しい。いいねぇ、この風景。イヴ・モンタン主演映画「ギャルソン」を思い出す。

「あの、魚形のビンのワイン、何て言いましたっけね?」「○○○○・ビーノです」。

「え?」「書きましょう」。

ペッシェ・ビーノ。近頃は、耳も遠くなりました。

ナポリ、行きたいねぇ。漁港で、冷蔵庫サイズのおかみさんと友だちになりたいよ。