春の嵐に、愛の嵐でも勉強しよう

ちょうど1週間前のNHK「パリと女と名画たち」を、思い出しています。

オルセー美術館の壁の色が、青味がかった濃いグレーに改装され、絵画の発色が見違えるようになりました。番組に衝撃を受けたギャラリーのオーナーは、たくさんいるのでは?

たいがい、壁は白色なので。

本日は、雨降りも雨降り、横なぐりの暴風雨なので、部屋に引きこもり中。

印象派絵画の殿堂、オルセー。

モネ「日傘の女」や、ドガ「エトワール」を取り上げて、1870〜80年代パリジェンヌのファッションと生活を再現してました。

フランス語、一つ覚えました。

Art de Vivre アル・ド・ビーブル。自分らしく生きる。

これすなわち、ブルジョワジーの妻と娘がとっかえひっかえ服を買い込んで、着飾る習慣の始り。別名、「自分を表現する」。女の不可侵領域。男の甲斐性。

当時のモードの記録が残された場所として、進行役の天海祐希さんは、古雑誌屋に案内される。

ガルカンテ。

やぁ、やぁ、やぁ、懐かしい。僕もここで、買い込みましたよ。ファッション雑誌じゃありませんが。

そろそろ返却しないと、また督促状がくるので図書館に行こうと思っていた矢先に、本日の暴風雨で先送りしてます。

「殺人の歴史」創元社刊。

セザンヌ「絞殺される女」が載ってました。セザンヌ印象派の画家。作品は、オルセーに所蔵されています。

彼の絵といえば、リンゴやオレンジが波うつ布に置かれた、いかにも静物デッサンの教科書のような印象があって、おもしろくも何ともなかったでしょ?

とか、水浴図のような、お上品な絵。

この絵を描いた年、彼に何があったのでしょうか? 

本日、春の嵐。嵐といえば、これは愛の嵐シャーロット・ランプリング嬢と運命の出会いじゃ。

パラパラとページをめくっていると、出て来ました。

Le Petit Journal ル・プチ・ジュルナル紙。

古雑誌屋ガルカンテで、高さ1mほど買い込んだ1890年創刊の扇情新聞。

ほぼ毎号、痴情・金銭・メンツのもつれから、殺人・暴力沙汰に及んだ現場が表紙を飾るので、迷わず購入。

19世紀末の「週刊実話」。

写真ではなく、イラストというところがミソ。再現ビジュアルですから、画工が、あらん限りの想像で描く。

残念だったのは、本文がフランス語で読めなかったこと。

今回、初めて一部の事件を日本語で読むことができました。

・キャプシーヌ大通りの惨事

帽子屋アレキサンドル・デュオンは8年前に結婚した。新妻はひどく身持ちが悪かったので、家から追い出したが、忘れられずヨリをもどした。

ところが1ヶ月半もしないうちに、パン屋のブランダンと駆け落ちしてしまった。

ピストルを買い、妻を探し、とうとう2人がクルマに乗り込むところを発見。後をつけ、キャプシーヌ大通りクルマが停車した。やおらドアを開けて、恨みの銃弾6発。

・大型客船ニュー・アムステルダム号で、1歳の子が海に投げ捨てられた。

マルセイユ駅で、トランクの中から首のない女性の胴体が出てきた。

・実直なバウーゼが、老婆をメイドに雇った直後に、息子が亡くなった。

巻末には簡易年表もある。

すでに1838年には「三面記事」という言葉が登場していたんですね。本書は「舌なめずり好奇心の歴史」でした。