文京区に遊びの拠点を見つけました
浜離宮、小石川後楽園、六義園は、小学校の遠足で行ったことがあります。
どこも、広い庭というだけでした。小学校の校庭はアスファルトだったので、団体バスで行った土のある公園が「ずいぶん遠くに来たもんだ」とチビッコなりの感慨がありました。
現在なら、電車で30分で行ける距離。
しだれ桜で有名な文京区の六義園ですから、今年、花見に出かけた方も多いでしょう。
徳川五代将軍綱吉の時代に造られ、明治期は三菱創業者・岩崎彌太郎の別邸となる。昭和13年、東京に寄付され公園になる。
案内板を見ながら「富国強兵・財閥」いょ、お金持ち! 太っ腹! と感心する。
六義園から数分のところに三菱三代目当主・岩崎久彌が1924年に設立した「東洋文庫」があります。
岩崎家のなごりは都内各所にあり、去年10月に「東洋文庫」が改装されたニュースを知り、やっとこさ訪ねました。
上野にある「こども図書館」同様、国立国会図書館支部だったんですね、ここも。入館料880円という歯切れの悪さが泣ける。
なんとなく古くさく、研究者向けの敷居の高さが先入観でありましたが、建築がモダンで、展示物がおもしろく、3時間ばかり滞在。
フラッシュをたかなければ、撮影が自由なのもうれしい。
本の壁。「もう、この部屋に住みたいです」と、学芸員に声を掛ける。
「これは、モリソン書庫です。2万4千冊あります」。オーストラリア人で、ロンドンタイムズの特派員となり北京に20年在住し、欧文で書かれた東洋書籍を収集。
1917年、岩崎久彌がコレクションを現在の価格70億円で一括購入し、これが後に「東洋文庫」の目玉となる。
ショーケースに鎮座するのは、これまた、学校で習った本ばかり。シーボルトの植物誌、動物誌(魚類)、動物誌(ほ乳類)。
習わなかったのが、インド昆虫記、ジャワの植物誌、コロマンデル海岸の植物誌などなどなど。
「この本は借りられるんですか?」。
「館外は無理ですが、館内なら申し込んで閲覧できます。研究者もたくさんいます」。
すごい、早く研究者にならないと。本を特定できないのが、じれったい。
「あの、天井のほうにある本も?」。
「ええ」。
願わくば、書架の前をうろついて、背を眺めて、取り出して、パタンと閉じて戻して、コーヒー飲んで、ヤルヴィ指揮の曲聴いて、なんてどうでしょう?
相変わらず、雰囲気だけの性根、変わらず。
モリソン書庫も圧倒されましたが、他の展示も素通りできませんでした。
1階にある、オリエントホールにならんだ古書。2階にあるディスカバリールームや、岩崎文庫。
マルコポーロの「東方見聞録」はご存知ですね。
1271年、ベニスの商人が父や叔父と東洋に出帆し、1275年北京に到着。黄金の産地「ジパング」と著いた「東方見聞録」。
これ、出版年・出版地・言語いろいろに77種も「東洋文庫」は所蔵していました。いかほど世界的ベストセラーだったかがわかります。
チベット語で書かれた、仏教の教典。紙一枚一枚を綴じないで、積み重ねる。そして15cmほどの断面に、唐草模様が浮かんでいる。
「春香伝」。
朝鮮・李朝時代の王朝文芸。歌と音楽の「パンソリ」にもなりました。
6月24日まで、企画展があります。「東インド会社とアジアの海賊展」。
400年前に、イギリス・オランダ・フランスがつくった「東インド会社」ときて、追加で「海賊」ですから、見る方も熱が入ります。
4月14日には、恵比寿の日仏会館でシンポジウムがあるので、海賊の話はその時にしましょう。
「建物がすばらしいですね」。
2階の「回顧の道」と名付けられた回廊は、古書の展示もさることながら、フロアーが透明パネルになっているので、上を歩くとドキドキする。
改装前の遺構を再現したのでしょうか?
裏庭はシーボルト・ガルテンと名付けられ、面してレストランあり。
・ザビエルセット 1200円
・マルコポーロセット 1500円
・プチャーチンセット 1600円
ちなみに、マルコポーロセットは小岩井農場たまごのふわとろオムライスにサラダ、デザートに珈琲または紅茶。
そういえば、小岩井農場も三菱系だよねぇ。