オランダに3時間ばかし滞在する
13日は、何をやってました?
日本であって、日本でない。パスポートなしで、治外法権の敷地で遊んでました。地下鉄「神谷町駅」から5分の外国、オランダ王国大使公邸です。
サッカーでブイブイいってるオランダ。フェンロの吉田と、フィテッセのハーフナーが在籍中のオランダですよ。もちろんチューリップも有名です。
普段は、入れません。13・14日限定で、公邸が一般開放されたのです。
音は、アーノンクール。
港区は、大使館が集まっているので知られています。
なぜ?
大名屋敷と寺が多かったから。幕末、欧米の公使館を設置するにあたり、比較的安全だった港区の寺が選ばれたんですね。
オランダ王国も、最初は西応寺や長応寺に公使館を設置するも、明治16年、現在の場所に移転。もちろん木造建築。
関東大震災で焼け落ち、昭和3年に鉄筋コンクリートで再建したのが、現在の建物。
というのですから、古建築好きは足を運ばないといけません。
日本で西洋建築設計を手広くやっていたガーディナー、死後、事務所の上林敬吉が受け継いで完成させた。
様式は新古典主義というらしい。でも、植民地=コロニアルに建つ西洋館ふうで、南国的。
建設当時は、大使館。現在は、大使公邸。ですから、館内は入れません。1階は、レセプションルームとダイニングルーム。窓越しに拝見。
芝生の裏庭が広がり、散った桜の花びらが点景をつくる。色鮮やかなチューリップが外周を縁取る。
「ここで、結婚式を挙げたい」と、押し寄せた女性群は、両手を合わせて瞳がハート形になる。
日本語ができるドリーン・ローリンさんと話す。
「ブーケは、結婚式の時だけじゃないの。気持ちいいことがあったら、すぐブーケをあげないと、女の子は怒りますよ」。
彼女はロッテルダム農業学校の先生でした。
90年代から日本でフラワーデザインを教え、オランダ皇太子が来日してパーティを開いた時のチーフデザイナーでもありました。
裏庭のあちこちに作品展示。斬新なデザインです。茎を使うなど花材が大胆で、色使いもうまい。
1回20分ほどの、フラワーアレンジも披露。
速いんです。花選びも飾り付けも。ですから、時間内に2〜3作品を完成させる。さっさとやる。
フラワーデザインが国家資格だったとは、さすが花の国オランダ。
庭の奥は、かすかに日本庭園のなごりがありました。
歩いていると、柵越しに屋外プールが見える。「プール付きの高級マンションがある」さすが港区だね。
と、管理のおじさんに話を聞くまで誤解してました。
ここが大使公邸の住宅なら、いったい、大使館はどこにあるの? と疑問がよぎるでしょ?
柵を越えた向こう側が、大使館事務所棟だったのです。公邸とは小径でつながっています。
事務所棟は円弧を描くビル。「前庭は、イチョウの形にデザインされています。葉っぱの先に沿って建てました。オランダ人の設計です」。
これまた、建築だけでなく都市計画もやるレム・コールハースの国。やってくれます。
プールも、1年中使うなら屋内プールを作るでしょうに。
「ですから、管理がタイヘンなんです」と、おじさんは苦笑する。タイヘンでしょうが、断然、こっちのほうが気持ちいい。
時あたかも、桜の散る時。
風に舞う花びらが、水面に落下する。花吹雪。風とさざ波に揺られて、花びらは離合集散を繰り返す。
きれい。
プールサイドを歩く。覗くと、木立からやって来た夫婦のガマガエルが遊んでました。
門扉のテントで売っていた<ホーランドオリジナル ストループワッフル>を買う。
「何がオリジナルなんですか?」。
「ワッフルの間にカラメルがはさんであります」。オランダでは、街のスタンドで焼きたてを食べるらしい。
バンホーテン・ココアの国が生んだから、同じ焼きたてでも「たこ焼き」じゃない。