ホンモノの桜吹雪をやってみました

4月下旬になると、桜前線は東北あたりを北上中なのでしょうか。

東京で開花した時の盛り上がり、今いずこ? こういう時こそ、気分をゆったりさせて桜見物と、先週出かけました浜離宮「お浜御殿」。

入り口の近くにある「三百年の松」。太い幹が全面にぐっとせり出して、ああ江戸時代。「上様のお成りぃ」と、声がかかってきそうです。

あいかわらず、ここだけは時間が鷹揚に流れる。

管理事務所のおじさんが、「見所を内緒で教えましょう」と地図をくれる。ナイショなんて、何年振りで聞いた言葉でしょうね。

教えてくれても、短距離で「目指す」ことは普段やらないし、時間はたっぷりあるから、とろとろ歩く。

お庭をぐるり囲むのは高層ビル。いやでも庭園の水平感が強調されます。海水を引き入れ、潮の干満を楽しんだ潮入りの池に連なる小山。もう、将軍様気分。

「鷹狩りは、愉快じゃ。のぅ、三太夫ぅ」。

咲き誇る八重桜、中に「一葉」と名付けられた樹あり。樋口一葉さんが好きですから、幹をなでる。

鬱金(うこん)」と説明された樹もあり。鬱金桜。薄いグリーンで、これも春の色ですねぇ。八重桜と隣り合わせで春爛漫。

標識も、「平民」用とは違います。普通は、幹にバンドでネームプレートが架けてあるでしょ? ここのは、まるで
「上意」とでもいいたげに、板に墨書して土にささっている。

例によって、植物は名前がわからないから助かります。

クリエイティブの友だち「クリだっち」近況報告。

・私の散歩コースに、自宅付近を流れる「東川」があり、
今年になってカワセミが棲みついているのを発見! 

・「ピーピッピッピッピ」と鳴きながら川面を飛ぶのですぐに判ります。清流の宝石といわれるコバルトブルーのきれいな鳥。

音なら、アーロン・ネヴィルでしょう。浜離宮にも鳥はいました。鴨と白いのはサギでしょうか?

じっと見ていると、人間と一緒じゃないか。メスを目掛けてオスが飛んで来る。「ねぇねぇ」なんて声をかけるも、メスは無視。

あんまりしつこいんで、メスは去る。するときまり悪るそうに、近所の鴨に笑ってごまかす。

鴨も万事承知で、うなづく。

引き続き「クリだっち」報告。

・この小さな流れが、東所沢あたりで桜並木の名所になり、その先で「柳瀬川」という一級河川に合流して大きく川幅を広げ「新河岸川」に注ぎ、「荒川」へとリレーされます。

・川の合流地点を見てると、なんだかワクワクしてくるのは私だけでしょうか?

・先日の日曜に天気に誘われて、カメラ抱え東川散歩してきました。

「クリだっち」から送られて来た野の花も、色の違いはわかりますが、小花ですからみんな同じに見える。

お話になりません。申し訳ないねぇ。これから一つひとつ勉強していきます。

どういうコトかというと、自然を相手にした時に、あるがままを受け入れる目の教養がない。場を見てこなかったから、訓練されていないんです。

荷風文学みちしるべ」奥野信太郎著。

大ざっぱにいって、荷風さんは人生落魄志向の方々を引きつけます。

あればどうしても手が出ます。読みました。

彼は、学生時代から一風変わった行動に出て、終世変わらなかったのが「ご内所趣味」というやつ。

芝居に関係すれば、すぐ中に入って拍子木をたたいたりする。待合なんかでも、しばらくするとご内所に入って長火鉢に坐り、帳面をつけたりもする。

晩年は、ストリップ劇場の楽屋に出入りして、踊り子に木村屋のあんぱんを差し入れた荷風さん。

裏へ回るという感性。落語「居残り佐平治」に通じるものがありますねぇ。

世の中の虚飾が嫌いなら、自然に向かえばいいのに、あいかわらず巷間を歩く。

「趣味は何ですか?」と問われて、「ご内所趣味」と言えるようになるには、あと、どれほど修業が必要なのでしょう。

住宅が続く巷を歩く。

八重桜の花びらが、地面に広がっていました。雪と見まごうばかりの厚みで。

もう、わしづかみしましたよ。堆積された感触を確かめる。しばらく遊んで、やおら、風に舞うポリ袋に詰め始める。

帰宅して、「桜吹雪じゃ〜」と国芳描く金太郎と鯉にまく。プラスチックの桜じゃありませんよ。ほんものの桜。楽しいねぇ。

目を近づけると、小さなアリが動き回っている。アリは大好きですから、30分ばかし凝視。