若くても、ちゃんとやってる人々

2週間前に、公益財団法人東京都歴史文化財団トーキョーワンダーサイトの話をしました。

2006年から、この財団は世界の若手クリエーターを日本に呼び、同時に、日本の若手クリエーターを世界に派遣している。

アーティストの交流を仕掛け、育て、発表の場を3つ提供している。

前に訪問したのは、国連ビルの裏手にある青山会場でした。それ以外にも渋谷と本郷にある。

今回訪問したのは、本郷会場。本郷といっても、水道橋とお茶の水の間です。

音は、ベティ・ライト

5月から8月まで毎月、若手4名の個展が続きます。その第1弾。関連イベントが3時半から8時ころまで開催されました。

基本はトークショウです。3人は平面作品なのでパス。夕方から始まった二藤建人さんのパフォーマンス作品を見る。

パフォーマンスの現代アートって、どういうのだろう?

到着した時は、すでに始まってました。木枠に土が敷き詰められ、彼は、上の板の穴から白い液を土に流している。

バケツで何杯も、何杯も。

木枠の後ろでは、仲間が粉と水を撹拌している。石膏でしょうか? 落ちた白い液は、土に沁みるような、表土に拡散するような。

何が始まるのだろう?

前面の木枠を外す。1m高さの土の断面が露出する。そこをシャベルで掻き出す。

石膏が沁みこんだ土塊が、崩れ始める。ゴロンゴロンした塊が5〜6個。ホースで水を噴射すると、土が吹き飛ばれて、ブロッコリー形状の石膏が現れる。

タイトル「不測に向かって放り込む」。

どんなブロッコリー形状の塊ができるか不測で、それに向かって、溶けた石膏液を上から流す。ということでしょう。

あらかじめ、水を含ませた土。どの%の粘り気にしておけば、どのような石膏塊ができるか。

「普段は、庭なんかでやってます」。おもしろいねぇ。もう全身泥まみれ、ビショビショ、汗だく。40分のパフォーマンス。

そこに音もなく登場したのが、「大駱駝艦」の小林優太さん。

あの、容貌魁偉の舞踏家・麿赤児(まろ・あかじ)兄さんが主宰する「大駱駝艦」のメンバーです。うれしかったねぇ。

これも3月24日のブログで書きました。

全身、新聞紙で作った仮面と衣装で踊る。かっこいいんだわ。

タイトルは「二グレド」。

錬金術の最初の工程を「二グレド」というらしい。解説では、卑金属を一度黒化(腐敗)させること。

卑金属って、何? でも、卑金属を腐敗させるあたりは、言葉上ですが、いかにも「大駱駝艦」と納得する。

小林優太さんのソロ舞踏。オリジナルの振り付け。

言葉で間に合わないから、体で表現しているのだ。ということが、よくわかる。

見ているこっちも体があるので、伝わってくるのです。二藤建人さんが作った金属パイプと土と石膏塊の美術装置が、とてもマッチしている。

土の中から掘り出された、動く人体。神話を見ているようでした。

小林優太さんと話す。

「白塗りの舞踏がほとんど。泥と水は、初めてです」。これは舞台ではできないでしょう。

7月5日から、世田谷パブリックシアターで御大・麿赤児さんも出演する創立40周年公演「ウィルス」があります。

そして、7月28日からは8泊9日で、長野県白馬での舞踏合宿生を募集中。費用は、コミコミで6万円。

大駱駝艦体操、麿メソッドってどんなんだろう? それに、宇宙体・鋳態・身振りの採集ってのも興味あるねぇ。連絡先は0422ー21−4984。

本の「快男児 麿赤児がゆく」を読んだんですが、と小林優太さんに問いかける。

「ほんとに、あのまんまの人です」との答え。いつの日か、本人と話をしてみたい。たぶん、飲み込まれて溶かされちゃうでしょうが。