習えばわかることは、技法だけじゃない

5月15日から6月26日まで、多摩美生涯学習プログラム「『ひと』を描く」で、描いたのがこれ。

10時から12時半まで、全7回。内、2回さぼったから全5回出席。

結論。どれだけダメかわかったので、これからボチボチやっていけそうだということ。

スタート台のはるか手前にいる自分。つまり、晴れてスタート台に立てる日という将来が見つかった気分。

キッカケにはなりました。

毎週火曜日は、雨の日が多かった。26日の卒業の日ばかりは晴天。我が心境に準じた気候の移り変わりを、誰か知る。

加覧裕子先生、笠島彩子さん。ありがとう、そして、また会う日まで。仰げば尊し我が師の恩。

それにしても、難しかった。モデルにも、全然似てないし。いや、似顔絵を描きたいわけじゃない、というのはへ理屈で、基礎がないだけ。

教わったことは、シンプルなんです。

タテヨコの比率、明暗のコントラスト。そして、絵筆を鉛筆握りではなく、棒を持つように握ること。毎回毎回、同じ指摘をされるから、他人の絵を見て、「絵を習った経験」があるかないか、わかるようになってきました。

もちろん、習った人の絵がいい、という意味ではありません。断じて。

外苑前にある「オン・サンデーズ」で見た、ジョン・ルーリーの絵。正しくは版画。もっと正しくは、原画をプリントした複製画。

僕には記念碑のような映画、ジャームッシュ監督「ストレンジャー・ザン・パラダイス」「ダウン・バイ・ロー」。そして、ベンダース監督「パリ・テキサス」。

ジョン・ルーリーが出演しなければ、映画はできなかったでしょう。

ところが、ライム病にかかって音楽・俳優活動ができなくなる。向かった先に絵画があった。

大病をしたことがないので、心境はわかりません。よるべなさは、想像できます。虚空のような毎日。

それを絵にすると、目の前の絵のようになるのでしょうか? 習ってできる絵ではない。

もう1軒行きました。ワイズ青山店の地下1階です。

Yoji Yamamotoさんの絵。

デザイナーですから、さぞかし新作のための絵を毎日描いているのだろうと思い込んでました。

違うんです。たぶん、彼はたまに趣味としての絵はやるけど、普段は描かない。慣れてないのがわかります。

「デザイン画を、あまり描かないんですか?」と訊く。

「描くより、実際に布で考える人です」。

はっきり言って、絵はヘタ。ヘタでいいんです。絵描きじゃないんだから。

いろいろなアプローチがあって、安心したよ。