去年から、聴き続けてきてよかったよ
世田谷区がやっている「旅に出よう」セミナー、第6回。
前回は、歯痛でさぼりました。キューバに詳しいトラベル・ライター樋口聡さんの話だったので、出たかった。著書を図書館で借りよう。
7月4日の今回は、すごかったです。
音響メーカー・パイオニアの創業者、松本望の旧居「松本記念音楽迎賓館」訪問。
地図を見たら、アルジェリア大使館が近くにありました。
音の暮らしもどんどん変化していることは、音シロウトの僕でもわかります。かつて、音にうるさい連中は秋葉原にせっせと通って、マイ・オーディオ&ルームに見果てぬ夢を託しました。
パイオニアは、家電メーカーのステレオとは一線を画して語られていたことを思い出します。
理念を持った創業者だけに、自宅を建てるにも、音楽への愛着に満ちた家でした。
館内を案内する方が、1912年製造の蓄音機でイブ・モンタンのLe Gamin de Parisを掛ける。ユーチューブは、モンタンが歌っているかどうかは不明。使われている写真は、ドアノーでしょうか?
もちろん、蓄音機は松本望のコレクション。
隣には、チェンバロ。「フランス革命期、貴族の娘たちがたしなみで弾いた楽器です」と説明がある。ピアノは、チェンバロから生まれたんだね。
1880年、スイス製のシリンダー型オルゴールもありました。優雅な音です。
敷地1000坪の庭園に出る。
奥さんが京都出身だったらしく、京都風の庭園なのだ。「世田谷区の保存樹林になってます」。
西園寺公望の別宅から移築した茶室がありました。部屋に入る、「にじり口」ってあるでしょ? 1m四方くらいの出入り口。茶室は、すべて「にじり口」だと思い込んでいました。
「貴人口」ってのもあるんです。さすが、京都。やんごとなき人々は、立ちの姿勢のまま出入りしてたんです。
もう一つの茶室は、立礼席(りゅうれいせき)。椅子に座ってお茶をたしなむ茶室。これは、明治時代からなのでしょうか?
「これは、何でしょう?」と問いかけがある。藍色の、陶製の立方体が5〜6段重ねになっている。
庭園でも音が流れるよう、陶器のスピーカーでした。園遊会をやったのでしょう。
再び、館内に入る。オルガン室がありました。
478本のパイプオルガン。「サントリーホールは、10倍の本数があります」。そこで、カッチー二「アベマリア」を拝聴。
パイオニアの前身は、昭和13年設立の福音商会電機製作所。松本望は、キリスト教徒だったのでしょうか?
弦楽器と協奏する音楽らしいのですが、単独でも充分天国へ行けました。
最後は、1本350万円のスピーカー2本が立ったオーディオルーム。
この音、やはりユーチューブとは違います。シロウトでもわかる。
壁も天井も、蛇腹状の部屋。「1曲500円でご利用できます」。
訊くと、あらゆる部屋・楽器は有料で使えるのだ。結婚式もできるというから、音好きなら借りるかな?
ほんと、音に厳密な人は水準があって、「こんなの音楽じゃない」と眉をひそめる人は大勢いそうだから。