形は自由。その前に「筆立て」です
6月に、美術解剖学の展覧会に行きました。
人を描くためには、人体を知らないといけない。だから画家たちは、せっせと骨格や筋肉を勉強する。ミケランジェロやダ・ビンチのスケッチが残っているでしょ?
我が日本人も、明治時代は芸大で森鴎外先生から人体を学んでました。そんな展覧会。
現代の画学生も、人体を勉強してます。授業では、資料を見るだけでなく、デッザンし、そして模型を作る。
模型を見た時に、絵もさることながら、「粘土でこれを作りたい」と燃えました。
「完成にだいたい半年かかってます」と、芸大院生の加藤さんから説明を受ける。美術でも工芸でも文芸でも、見たり読んだりしている時に、作者の制作期間のことは念頭にありません。
作りたい、となると「どれだけかければ」が、気になる。絵を描くため、というより粘土遊びに燃えました。
「そうだ、これからは陶芸教室だ」と、8日に初参加。
シルバー人材センターって、年寄りに仕事を斡旋する組織じゃないの?
なぜか、世田谷区シルバー人材センターの烏山支部が、陶芸教室をやっている。
場所は、杉並区の境にある都立盧花恒春園の隣。地図を見る。バスで小田急線の「千歳船橋駅」まで行き、乗り換えて京王線の「千歳烏山駅」行きまで、またバス。
9時に講習開始。初めて訪ねる道は、なんとなく不安だよね。慣れません。初日から10分遅刻。
やってました、粘土こねこね。
5枚綴りの粘土券を買う。握りこぶし大の粘土が、1個100円。こねて、ちぎって、ろくろに載せて、押し付ける。「1cmの厚みにしてね」と言われる。
それからがタイヘン。ろくろを回して、ヘラをあてがって円盤にくり抜く。初めてだから、へらが粘土上に同心円を描き、きれいにくり抜けない。
「手は、動かさなくていいの。ろくろが動いているんだから」。コツは、肘を台に付けて固定し、ヘラを持った右手を左手が支持する要領。
トランポリンを思い出す。
人体は、高く飛ぼうとする。飛ぼうとしてはいけない。物体にならないと、バウンドしない。
これも、回っているろくろを忘れて、手がくり抜こうとする。手は意思を捨てないといけないんだ。
厚さ1cm・直径9cmの円盤に、親指の太さの粘土を巻く。それを何段か重ねて、12cmの高さにする。つまり、入門の基礎の原点は「筆立て作り」。
幼稚園児と同じ。
苦労はすれど、作業は単純。
12cmに立った円筒形の壁面に、何かしたくなる。
テーブルにある7つ道具のようなものは、そのためのものでした。
先端が尖ったもの、平たいもの、丸いもの。
「道具は、どんどん自作するんです」。加工したい形に合わせて、ありあわせの物で道具を作る。
「これは、傘の骨で作りました。これは、楊枝です。これは割り箸です。これはかまぼこの板です」と、次から次と道具で実演。これが、おもしろいんだわ。
成形するための道具、パターンをつけるための道具。どんどん試す。
すると、どういうことになるか?
各種模様ができて、なんだかわからないものに変身。ちっともキレイじゃない。心模様。粘土は、つぶしてやりなおせばいいのだからと、その辺は気楽。
僕は入門コースです。各テーブルは、レベルに別れていました。見ると、急須を作っている人もいる。「取っ手と注ぎ口をどうやって作るんだろう?」と感心する。
永年やると、こういうこともできるんだ。
帰宅して、中国で買った急須を見る。孫悟空の国だけに、猿が木の実を食べてる急須。ボディは切り株。細工が細かい。
筆立てから急須まで、何年かかるだろうか?
それでは<これからショータイム>
・11月27日 東京ドーム 19:00 ¥12500
ヴァン・ヘイレン