ビーチ・ジジイならできるかもしれない
深尾君、元気でしょうか?
初めて就職した会社の同期生。新入社員の夏、同期11人で彼の実家がある逗子に集合。遊びました。
「森の遊歩隊」のメンバーとは、逗子駅で別れて、一人海岸を目指す。あの時以来かもしれない。
来るお客さんの若い順に、江ノ島・葉山・鎌倉と並ぶビーチリゾートのメッカ。逗子は、江ノ島の次くらいでしょうか?
海岸までの道が、いかにも海辺にある漂白された町。
一人で店番するおじいさんは「趣味のはきもの 立花屋」。大衆トラットリア「キクヤ食堂」。スイカとトマトとキュウリが並ぶ八百屋は「浜勇」。
歩道で、足を踏ん張り「行きたくない」ポーズをしている犬がいる。リードを引っ張られて、首が抜けそう。
「今日はダメ! もう、行くからね!」と、お母さんが犬に言い聞かせている。
「どうしたんですか?」と訊く。
「『浜勇』のご主人が、この子と友だちなんです」。つまり、見かけると売り物をなんでも後馳走してくれる。毎日のことだから、飼い主は恐縮して足早に通る。
通ろうとするも、足を踏ん張る犬。しまいには、抱きかかえられて通過。
やって来ました。「逗子海岸POST 絵はがき専用」と、赤い郵便ポストが、浜に立つ。
黄色の旗がたなびく救護の櫓。ライフセーバーが双眼鏡で監視中。
いやぁ、やりたいねぇ。
5時まで、こうやって見張っているのだ。救助艇もある。乗りたいねぇ。
歩いていると、また黄旗がある。監視中は、掲揚しているのでしょうか?
黒壁の小屋、OTODAMA SEA STUDIOがありました。言霊(ことだま)の音版で、音霊。連日、ライブやってます。
サンプラザ中野くんも出演してました。
こんな贅沢なライブハウスがあるんだ。見たかったねぇ。
見渡すと、海の家もずいぶん立派になりました。
利用料金は「大人一人、1500円です」。協定料金で、どの海の家も同じ。値段は、前とあまり変わらないんじゃないかな?
さらに歩く。
片手をかざしているお兄さんに出会う。
「何やってるんですか?」。
「こうやってると、トンビが来るんです」。
ちょっと、待ってよぉ。
見上げると、ハト・カラス・トンビが舞ってます。これが、指先めがけて降りて来る。そんなこと、できるの?
山田貴兄さん。海の家Aqua Chapelでマネージャー歴6年。
海の家というのは、6月初めから建て始めるらしい。どういう人がオーナーかというと、「建設業か飲食業が多いですね」と、永年の疑問がとける。
あれって、すごく気まぐれ商売に見えるし、シーズン以外は何やってるんだろうと、あいまいな感じがするでしょ?
陽焼けで、真っ黒。「一度やりたかったんですが、とうとうビーチボーイになれませんでした」。
「かえって、おじいちゃん・おばあちゃんが世話する海の家のほうが、お客さんが安心しますよ」と、うれしいことを言う。
ビーチ・ジジイの道、皆無ではない。
兄さんは、火薬を取り扱う免許を持っている。打ち上げ花火をやれる人。僕も花火好きだから、うれしいねぇ。名刺に書かれてました。Fire performer。
さて、トンビの話。
「保護区があって、そこから飛んで来るんです」。目を合わせないようにして、いかにもエサを持ってるように指をかざすと、舞い降りてくるのだ。
「鷹匠(たかじょう)を目指しているんです」と、どんどん驚くことを言う。諏訪流放鷹(ほうよう)会のメンバー。
毎年、お正月2・3日は浜離宮で鷹匠の大会があるのです。これで、来年のお正月は決まりだね。
それでは飛翔の音に似た<これからショータイム>