鳥の構造の秘密を、解剖してみる

半年に1本は、カラスの羽を拾います。見過ごせません。

10cmのもあれば、30cmのもある。キレイだし、ゴム輪でまとめ、羽ぼうきで使ってます。

ですから、羽の空力の話が出た時は、思わず「そうだったのかぁ」と、遠藤秀紀教授と握手したくなりました。

5月12日から7月21日まで、東大本郷キャンパスで開講していた、「生きる形」の関連講座。展覧会自体は、9月1日までやってます。

全7回の講座は、すべて抽選でした。

当選したのは2回だけ。これほど人気とは、意外。落選のハガキが来る度に、歯ぎしりしてました。

メイン講座は、遠藤秀紀教授がやった3回の「夢教授の解剖体実演講座」。実際に解剖して、仕組みを講義するので、ぜひ参加したかった。

その1 四肢と鰭(ひれ)の進化

その2 顎(あご)を動かすしくみ

その3 鳥の翼

当選したのは、「鳥の翼」。4つのテーブルで、学生が種類の違う鳥を、それぞれ解剖する。

小学校の前は、鶏肉屋でした。生きているニワトリを、ひねって、羽をむしって、さばく。そのプロセスを下校時に見ていました。

その時の匂いが、よみがえる。

講義時間が90分と短いためか、事前に、学生たちはコンドル・ホロホロ鳥・アヒル・キジメをすでに解剖してました。

それぞれのテーブルを回って、学生たちのミニ講義も聞く。

「動物園からもらい受けたものです」

「これは、リビアの砂漠地帯で飼われてました」

メスを入れて、筋肉・内蔵・骨を取り出す。

教授がしゃべりっぱなしの講義ではなく、5分程度の話を
10回くらい。

「人間は、鳥を見て飛ぶことを思いついたのですが、最初は羽ばたきを真似てました」。

それは、ことごとく失敗する。エッフェル塔から墜落した男もいた。

「風切羽を見て、中心線から左右対照の幅じゃないことに気付いたのがライト兄弟で、しかも、かすかに湾曲している」。

後に、飛行機の翼の断面になる、揚力を発見。加速する時より、滑空している時を観察していたんでしょうね。

そこから、翼全体の構造解説に移る。肩・肘・手首・指先にあたる部位が、ちゃんとあるんです。

鳥の骨格標本もありました。

「体全体に対して、頭が大きいですね」。

これは、脳が大きいのではなく、眼球が大きいから。目は、獲物を見つけたり敵を発見する必要から、重要なパーツ。

「鳥には、歯がありません」。

歯を支えるには、下あごの筋肉を発達させなければいけません。それは、飛ぶには重量が増えることを意味する。だから、くちばしで獲得した食料は、そのままのみ込む。

噛まないのだ。

鳥の足も、説明を受ける。

腿 → 膝 → かかと(人間は地面に密着するが、鳥は中空にある) → 足の平(人間は水平だが、鳥は垂直の骨) → 指(平から直角に出る)

「ニワトリは、日本に120億羽いて、年6億羽食べています」。

胸と腿に、一定の体積の肉が付くように改良されたのが今のニワトリ。だから、飛べなくなってしまった。

「前に、カモを写真に撮った時、白目でした。あれは?」

「それは、白目ではなく瞬膜です。人間には退化してありません」。

カモだけでなく、ダチョウも瞬膜を持っている。砂などの異物を防ぐ膜なのだ。

ラテックスの手袋をして、解剖学生やりたかったよ。

リンキン・パークを聴きながら、「東大夢教授」遠藤秀紀著を読み始める。