うなぎが「いろは」と書けば金メダル
案内された席で、隣を見たらおいしそうだったので訊きました。
「鴨ざる、です」。
鴨肉とネギのたれにつけて食べる、ざる蕎麦。来るまで、ぼぅ〜っとして壁を読む。「うな重が2割値上げ」。そうそう、うなぎ値上がりしてるらしいです。
福岡県・柳川のみなさん、お暑うございます。
柳川といえば、どじょう鍋。と思っていたら、7月下旬に「うなぎ供養」をしたという。町の掘り割りに、うなぎとどじょうを200匹放流したらしい。
年150万匹消費するので、霊を慰める供養をするのだった。
その放流現場の写真が可笑しい。静かに掘り割りに流すのではなくて、手袋した手で放り投げる。
うなぎも、黙って投げられてはいません。中空で、くの字になったり、への字になったり、うの字になったりしてから、水面へダイビング。
人間なら、こんな状態か?
想像では、体操フィニッシュと同じように、屈伸の後方抱え込み2回宙返りから、伸身の4回転3回ひねりF難度くらい、へいっちゃらでやるか?
止まった動きが、ひらがなに見える。思い出しました、浅草での講座。
今年は、6月16日からすみだ川アートプロジェクトが開催されていました。7月31日で終了。
2009年から、毎年やってます。今年のテーマは「江戸を遊ぶ・北斎漫画」。
北斎と国芳は、僕の好きな江戸おじさん。国芳は社交性がありましたが、北斎は画狂の生涯。
人物・風俗・動植物・お化けと描いて、倦むことを知らず。後に手習いのテキストとなった「北斎漫画」を出版したのは、55歳の時。
最初は、描写の的確さに舌を巻きます。ところが、これでもか・これでもかと4000図ありますから、見ていく内に、北斎の内面に向き合わざるを得ません。
平たく言えば、「継続できるのは、なぜ?」と。
そして、なぜ? と問う消耗から抜け出して、初めて偏屈さに親しみがわく。
会場では、画狂人の居室が再現されてました。居室、ほとんど画室。皆んな、「こうだったんじゃないの?」と、勝手気ままに想像してアトリエを再現。
いじりがいのある、北斎。
もともとは、アートプロジェクトですから、さまざまなイベントが行われました。
洋楽と邦楽、交流会と対談、ダンスとパフォーマンス、会食もあればお笑いもある。
それにも、参加しました。
も一つ、参加したのがアサヒ・アートスクエアで4日に開講されたSRAP式古文書講座。
気の利いたそば屋の看板では、「ば」にあたる字が「む」の字に似ていると感じたことがありませんか? 「そむ」と読める。
ひらがなのルーツが、漢字だったからです。漢字を筆でくずしていって、ひらがなが生まれた。ややこしいのは、ルーツの漢字が、一つだけじゃなかったということ。
「は」には、3つのルーツ漢字がありました。
・波 これが、現状の「は」の親。
・盤 「の」と「て」を縦につなげたような文字に変形。
・者 これが、「む」の字に似ている「は」の親。
画数の多い漢字を、ひらがなにくずすには、たぶん100年単位で単純化されたのでしょう。つまり、過程で生まれた筆記も、古文書では頻出する。
結果、どういうことが起きるか。
ルーツ漢字3つ × 過程の筆記が平均10タイプ として、30の「は」がある。
だから、古文書はパズル。圧倒的に放り投げる派と、ごく少数のだから楽しい派。
後者の奥田敦子先生特製の「書き方帳」を文机に乗せて、座布団に坐って、読みを習う。
寺子屋。
過程の筆記が平均10タイプ。自ら、筆を持ってなぞってみることが、習得の一番の近道。
筆の教養、まるで無いからね。イタイものがあります。何かの受付で、自著する時にいつも感じてました。
それに、黄表紙本とか読めればいいなぁ、とも。猫でもいじりながら、蕎麦たぐって、膝栗毛を読む。
その前に、なでしこ予選最終戦じゃぁ。