じゃまはしたくないけど、再訪したい
「森だっち」「迷子だっち」は参加。「音だっち」は、不参加。3人で9日に真鶴へ。
6月に見た「美術解剖学展」で説明を受けた、加藤公太兄さん宅訪問。下宿先は真鶴と聞いていたので、「こりゃ、海水浴を兼ねて、是非、研究の成果物件を見に行かねば」と決意。
五輪サッカーU23が敗れて、エミネムの心境で家を出る。
「鼻水が垂れてますよ」と、2ヶ月ぶりに再会した公太兄さんに開口いちばん言われる。
駅から南に下って真鶴港で、腹ごしらえ。
そこから、見上げるような石段の先にある社殿が待ち合わせ場所。苦しくて、口と鼻孔全開で登ったら、タラ〜リしてた。
メゾネットタイプのアパート着。
そこら中、わ・わ・わ・で、腰が落ち着かない。
「今、ウミガメを拾って骨格標本を作ってます」と6月に聞いてました。ウミガメどころじゃないの、これが。
海で拾って来た鳥の骨格や貝、道で拾ってきた猫の頭蓋骨、森で拾って来た蛇の抜け殻など多数。
これが、キャビネットだけでなく、台所の棚、窓の棚、ちょっとした棚、ちょっとしない棚に陳列されてました。
加えて、動物や人体の標本。ヤフオクで、どんどん購入。
欲しいのばっか。
何やってる人?
美術家です。美術解剖学者のタマゴで、芸大の大学院生。
夏休みなので、見晴らしのいいアパートでウクレレでも弾いていると思ったら、これが大忙し。筋肉の組織図を、15枚ほど見せてもらう。
極細ボールペンで、書き込む。本人は、「論理的思考ができない」と言うけれど、僕には充分ビジュアルの論理を蓄積しているように見えるがなぁ。
平面でも立体でも研究中。
ドラフターとミシンとトルソーが置かれてました。
人体を理解しようとしたら、人体をなぞる服まで興味が出てきた。だから、服飾の専門学校まで通学する。体表面積の構造を、布をあてて調べる。
前に、ファッション・デザイナーのタマゴと話をしたことがあります。
彼は、専門学校に行くお金がなかった。どうしたか?
古着をしこたま買い込んで、それをほどく。各部を平面にして、できあがるシルエットを学んだ。生活と実践と目指す将来は、各様。
来年の医学部院進学を目指して、現下は準備中。ますます、夏休みにウクレレどころじゃない。
医者になるためじゃないのに、進学する。
「すでに、彫刻家がいるんです。医学部に」。美の規範に裏付けがほしい、という思考回路。そういう彫刻家は、信用できるよね。
陳列に見入っていると、「加藤さんって、おいくつなんですか?」と聞こえてくる。
「迷子だっち」の得意技、手相見・星占いが始まる。
「30歳です。12月生まれです」。
両親も芸大卒というから、お坊ちゃん。悠揚せまらざる人当たりは、家系のなせるワザでしょうかねぇ。でも、苦労は買って、我が道を行く。
僕は、骨格標本作りを訊く。てっきり、土に埋めて肉が腐乱するのを待つのかと思ってました。大英博物館の本で読んでいたので。
水に漬けるやり方もあったんです。
大きなポリバケツが3つ。一人で訪問したなら、無理矢理でもフタを開けて見せてもらったんですが。