そうとう遅れて「お楽しみはこれからだ」
五輪サッカー男子韓国戦。後半10分で2−0になり、観戦をやめる。だめだ、4位決定だ。とはいえ、
選手はU23でしょ? ほぼ、大学生の年頃でしょ? 挫折はあるだろうけど、目的意識を持って過ごす彼ら。僕はボンヤリしてたから、永遠にその年代ならではの充実感を味わうことができない。
目の前にある「その場・その時」を過ごす作法を覚えたのは、社会人10年目くらいだから、相当オクテ。甘っちょろい。フォッシー「スィート・チャリティ」。
「東洋のリビエラ」真鶴へ、美術解剖学徒の加藤公太さん宅訪問記。「その場・その時」その2。
彼が海辺で収穫してきたほ乳類・甲殻類・は虫類物件を鑑賞する。骨格標本だけでなく、オブジェも見る。
洗濯物と一緒に、カーテンレールに下がっていたのが、この鳥物件。とにかく、次々「これは何ですか?」と訊いて、次々答えてくれるも、基礎がないから、その場で忘れる。
とにかく、ウミネコとかウミウとかカモメの類い。加藤兄さんへ、教えがいのない訪問者で申し訳ない。
でも、きれいでしょ? これ。「ちょうだい」という言葉を、やっとの思いで呑み込む。
加藤兄さんの引率で、海岸に出る。
「森だっち」は、早速、漂流物さがし。岩場なので、隙間をのぞく。
「これは、ネコです。皮は、なかなか腐りません」と、加藤兄さんが隙間から取り出したものを見る。乾いた皮と骨。それを、シロウトでも理解できるように、大きな岩の上に拡げてみせる。
「ここの部分が肩甲骨で」と説明。さらに隙間に手を突っ込んで部品を拾い、追加してだんだんカタチになってきた。
発見できるには、目が必要。漫然とさがしていても、ただのゴミにしか見えない。皆無なんだよねぇ、自然科学の知識。
いつの間にか、「迷子だっち」は岬の先端まで到達している。
彼女は、小学生の頃から海で遊んでいたから、岸辺は庭みたいなもの。僕も泳ぐつもりで、海パン持参してました。ところが、砂浜じゃなくて岩場でしょ。そうとう、怖い。
滑ったらどうしよう、波にさらわれたらどうしよう、岩で足を切ったらどうしよう。そればっか。
おどおどしながら、やっとこさ泳ぎはじめる。
はるか沖から、手を振る「迷子だっち」。足が届かなくても、へいっちゃらの彼女。あすこまでは、行けない。
海中も岩場。5m先の突起を目指して泳ぎ、立つ。次に10m先の突起、15m先の突起。いやぁ、楽しいねぇ。
僕は、水中でも口を開けてます。その癖に気付いたのは、海水で口中が塩辛くなったから。しまらない泳ぎ方。
岸にもどると、たいした装備持参のカップルに会う。
「マリンブーツあれば安心ですよ」と教わる。小笠原で泳いできたらしい。誰でも岩場のゴツゴツは、怖いのかぁ。僕はビーチサンダルをはいてましたが、あれだと、泳ぐ時にバタ足ができないのだ。
それにフィン。遠泳でも海中でも、泳力を補うにはフィンが必要だよねぇ。安心感が違う。
気持ちはすでに、南太平洋に飛んでます。
真鶴港で出会った、ヨットマン毛利さん80歳。大阪から操船して、真鶴在住のヨット仲間・中路さんを訪問。
「ということは、世界中に寄港地があって、世界中に仲間がいるってことですか?」
「そう、港みなとに『男』あり」。
いゃあ、とんでもないことやってる人。まずいよねぇ、連れてってもらいたいよ。
「いつでも、どうぞ」。
カチッと、気持ちのホックが音をたてました。「人生、ご破算で願いましては」と、喰いつきが尋常でなくなる。
デッキと船内見学。
約10mの船体。中に入ると、まず大きな海図。ミクロネシア・赤道・ニュージーランドへ南下。北上して、フィジー・タヒチ・ホノルルから、西へ向かって日本に帰るコース。
ちょっと、待って。
ベット、台所、トイレ全部見学。動きたくない。早く、出航してほしい。ヨーソロー。
中路さんのブログ「サザンクロスの夢航海」を読み始める。ぼくも航海の「その場・その時」を体験したい。