扇風機の我が家と、冷房の会場で見る

「残り物名画座」。本日は、2本だて。

1本目は、図書館から借りてきたDVD「英国式庭園殺人事件」。注文する時は、監督名までわかりません。何となく、アガサ・クリスティのミステリーだと思って。

入手したら、監督がピーター・グリーナウェイ

ということは、犯人さがしの謎解きではなく、いわゆる美的なものでしょう。「コックと泥棒、その妻と愛人」から想像するに。

舞台はイギリス17世紀と、ケースに書かれてました。

・1602年 ハムレット初演

・1620年 メイフラワー号出航

・1642年 清教徒革命

・1667年 ミルトン「失楽園

・1679年 トーリー党ホイッグ党対立

・1687年 ニュートン万有引力の法則」

・1698年 ロンドン株式取引所開設

年表から引いてみると、イギリスの17世紀は、情報化社会のプロトタイプが作られた時代でした。

何で時代が気になったかというと、登場する男たちの頭が、バッハの頭だったから。

あれは、地毛なのか、カツラなのか? いずれにしても、あの髪型は有産階級・有閑階級のシンボルに違いない。

映画の原題は、The Draughtsman's Contract「図案家の契約」。庭園の女主と、図案家の間で交わされた契約内容が、エッチなの。

監督は、それを描きたかったのであって、殺人事件はオマケでしょう。

図案家は、女主の依頼で庭園の絵を描く。「17世紀の道具が、参考になる」と思った。

構図を決める時、図案家は、三脚の上に四角の黒フレームが載っている道具を立てる。フレーム内は、黒糸で4等分・8等分されている。

最近、絵を描いてるでしょ? 現実の風景を、画用紙のタテヨコに置き換える時に、歪むわけ。タテが短かかったり、ヨコが長かったり。

構図の中が、等分に割れていれば歪みを修正するのも楽だろう。

ちなみに、映画に出て来る絵は監督自身が描いたというから、元は画学生だったのか?

2本目の「残り物名画座」は、今年から通い出したセルバンテス文化センターで見た、1992年のスペイン映画「ハモンハモン」。

男の規格は世界共通で、上半身と下半身は別人格。上半身は各種ありますが、下半身の欲望は共通。

プシィキャッツ、チーズケーキは有名な呼称です。ハムが「むしゃぶりつきたいくらい」の形容とは知りませんでした。

ハモンは、ハムのスペイン語だって。

ヴェネチア映画祭で銀獅子賞を受賞した映画。主演したペネロペ・クルスの可愛いさは、タイトルどおり。

今じゃハリウッドで売り出し中というから、フェロモンは折り紙付き。

ギリシャほどではないにしろ、こんなに太っ腹で大丈夫なのか? スペイン。嬉しいけど。

セルバンテス文化センターがやってるイベントのこと。有料なのもあるけれど、無料のものも目白押し。

月替わりの映画会だけじゃありません。音楽会、講演会、料理教室、フラメンコ、人形劇。写真展・ビデオもあります。

見た写真展は、「闘牛 ふたつの視点」。

写真内容もさることながら、プリントがきれいでのめり込む。

・臭化銀ゼラチン乾板

・臭化銀ゼラチン乾板 セレン調

・ジクレープリント、ハーネミューレ用紙

・ミネラルインク、ハーネミューレ用紙

・プラチナプリント

たぶん、デジタルでなく銀塩写真でしょうか。プリント職人は絶滅に近いですが、かたくなに腕を磨いていた。

ところで、この赤いボードは闘牛で使う道具なのだろうか?