優柔不断だから、どんどん後回し
「かもめ」「ワーニャ伯父さん」「三人姉妹」「桜の園」すべて読んでません。舞台も見てません。
劇場へ行けば、入り口ホールあたりには他館のチラシが山とあって、ほとんど必ずといっていいほどチェーホフの4大戯曲は、どれかが繰り返し公演されています。
何がそんなに、演劇人を刺激するのか?
1860年〜1904年。そうか、幕末から明治の人なんだ。モスクワ大学医学部卒。結核を患うも、ユーモア短篇を数多く著いた。
訳者あとがき、を読む。
この作品の主人公は「准医師」。医学の中等教育を受けた者で、独自で治療はできないけど、助手をしたり救急救命士の資格はある。軍の衛生兵にもなれる。
著かれたのは、1890年。ロシアとトルコの露土戦争が終わって12年後。勝利はしたが、記憶が生々しい年。
絵入りで、50ページほどなので、時間をつぶすにはちょうどいいと思ってチェーホフ著「泥棒たち」未知谷刊を持参しました。
関東中央病院の待合室。病院は、老人の園ですから、とにかく自分の名前を呼ばれるまで、延々待たされる。
前に胃の健康診察をやって、結果は「お近くの医療機関で精密検査を受けてください」と診断される。
おや、まずい所があるのかなぁ。とにかく、胃カメラを飲む検査なので、朝から食べられない・水も飲めない。
本の絵を描いたのは、ワレンチン・オリシヴァング。1961年生まれ。モスクワ映画大学アニメーション美術監督科卒業。
現在は、ノルシュテイン・スタジオの美術監督。あの「外套」を、ノルシュテインと一緒に作った人だった。
かき消えんばかりに翻弄される、人生の哀感と暖かさを描くタッチは、ちょっと右に出る人はいません。
「外套」は、もちろんゴーゴリが原作。1809年〜1852年ですから、チェーホフの前時代の人。
悲しいことに、この辺はゴチャゴチャ。
まだ、自分の名前を呼ばれない。「泥棒たち」の本文を読み始める。
主人公エルグノフは、「准医師」。
・クリスマスが過ぎたある晩に、病院のためにレーピノの町まで出掛け、帰途に着いた。
・遅くならず、なるべく早くもどれるよう、院長は一番いい持ち馬を彼に貸しあたえた。
・8時近くになると、激しい吹雪となって、すっかり道に迷ってしまった。
・エルグノフは、馬の乗り方がヘタなうえ、道も知らず、やみくもに走らせた。
ようやくたどり着いた宿屋。そこには、悪名高き馬泥棒の巣窟だった。はたして、院長の馬は盗まれずにすむのか?
それから1年半が過ぎた。
病院を追い出されたエルグノフは、今は住所不定で、あてもなく通りをぶらついていた。
・あの粗野で逞しい馬泥棒たちは、なぜ自由なのか? なぜ職場をもたない人間は、着るものに不自由しなければならないのか?
・これは、誰が考え出したことか?
・昨日、湯沸かし器を盗んで売り、その金で酒を飲んだのは悪いことなのだろうか? と考えていた。
ほんと、誰が考え出したことなんだろう。とボ〜ッとしてたら名前を呼ばれる。
ボ〜ッっとできないほど、胃カメラのチューブがグリグリ入って来て苦しい。診断は、「とりあえず良好です」。
でも毎年、精密検査は受けたほうがいいらしい。「今から予約もできます」。
来年のことを今から!