動きのなかに、意味が隠されてる

その昔、ヨーロッパへ旅行するには、アラスカ州のアンカレッジを迂回しました。

アメリカとソ連が、冷戦から平和共存時代になり、それでもソ連の上空は解放されてなかった頃。

航空路を初めて見て、「ずいぶん遠回りして、燃料がムダになるね」と、海外旅行にあこがれていた高校生だった。

シベリア鉄道に乗って、ヨーロッパへ旅行することが話題になったのは、学生時代になってから。

現在、旅行会社やレストランを経営していて、聞けば誰でも名前は知っている社長さんたちは、シベリア鉄道で貧乏旅行したクチ。たいがいの学生が、一度は計画してた1960年代。

1970年代の初期、ついにソ連上空が解放されて、アエロフロート航空でヨーロッパへ。

とんでもないことばかりだった。通路の2倍のボリュームがあるスチュワーデスは、軍人のように強面。機体に穴があいていて、下が見える。

でも、とにかく初めてだからソ連のとほうもない広大さに、驚いていた。延々と続く大地。

たまの変化は、湖面が鏡のように反射することだけ。小さな、黒い鏡面。

5日に、プーチン大統領がシベリアでハンググライダーに乗ったニュースを聞いて、思い出したことです。

昔、ソ連。今、ロシア。

とらえどころのない国。政治的で、文学的。軍事大国で、庶民大国。賄賂と酷薄の国なのに、叙情と懐旧の国。

プーチンは強面の人。大好き、大嫌いがハッキリ分かれる人。柔道やったり、戦闘機に乗ったりもする。

でもなんとなく、いじられキャラの匂いがするでしょ? マッチョを笑う、みたいな。

今回、ハンググライダーに乗ったのは、目的があったらしい。鶴の希少種を保護するため、渡り鳥の鶴に、飛ぶ方向をガイドするのが目的だった。

「こっちの方へ飛べば、無事、暮らせる土地に着くよ」と、ハンググライダーが手本を示す実験。

何考えてるかわからないリーダーより、行動して笑いを誘っても、わかるリーダーのほうがいい。

5月9日、ロシアはナチに戦勝した大切な日。

見ました、russian army parade 2012。1時間あります。

共産党時代のパレードとは違って、とげとげしさがありません。当面の敵がいないと、軍隊も来賓もなごむんですねぇ。欧米のパレードを見ているようでした。

プーチン大統領、話せるリーダーと感じました。ゴルビーもちょっと映ってました。でも、とりわけ、よかったのは退役軍人たちの顔。

一仕事終えて、わずかな年金で細々と暮らしているおじいさんの顔、貌。久しぶりに、たんすから制服・制帽と勲章を取り出して、晴の日に臨んだのだった。

息子や娘は、どうしてるだろうか? 孫たちは、元気だろうか? 思わず、声をかけたくなる。

僕は地図を見るのが好きだから、それをハンググライダーで実地検分できれば、どれだけ爽快かと想像する。

できないから、ビルかタワーに登るしかない。

いえ、そんなに高い必要はないんです。10階もあれば充分。それ以上高くなると、地面の表情がわからなくなる。

これは、飽きませんよ。とりわけ都会は、動きがあるから何時間でも見てられる。

これを動画で撮影したら、おもしろそう。今週、次男坊からビデオ操作を習います。動きのテーマは、たくさんありそうだ。