会場で手を打ち、一緒に歌いました
夜10時、渋谷駅ガード下で、氷メロンをシャコシャコやる。
今終わったステージの興奮と、暑気を落ち着けなきゃ。
レモンとメロンは現物を見たことがなかったので、なぜレモン味のシロップが黄色で、メロン味が緑なのかわからなかった子供時代。
子供の頃に食べたのは、もっぱら赤のイチゴ味だけ。そして、食べ終わって舌を鏡に映す。すると、まっ赤な舌になってるのが、うれしかった。
今回も、「舌が緑になってるかな?」と出してみる。変化なし。56年後のシロップは、上等・上品になってしまった。
1956年12月4日火曜日、テネシー州メンフィスにあったサン・スタジオでの出来事を再現したのが、今夜の舞台。時に、僕は台東区立根岸小学校4年生で、担任は松沢先生。
だったんだなぁ、とCDジャケットを見る。
年に1枚買うか買わないか、というくらい買わないCDを買う。100万ドルの4人組Million dollar Quartetは、最初から最後まで手足が自然にリズムに乗ってました。
それくらい、よかった。
知ってる懐メロ、うろ覚えだけど「だったよねぇ」と1950〜60年代にもどれる懐メロのパレード。
客席には、20〜30代の人も大勢。彼らには、新曲でしょう。でも、聴けば「知らない過去にもどれる」。
ロックが生まれた20世紀、そのルーツが1956年あたり。4人が小さなスタジオに集まってセッションをした。
それを2007年にミュージカル化したMillion dollar Quartet。渋谷のオーブで、17日まで日本公演やってます。
セッション後、大スターに成長する4人の若者。
まず、エルビス・プレスリー。 Blue Suede Shoes。歌うまで、トラックの運転手やってた若者。サン・スタジオからRCAに移籍してスーパースターへ一直線。
プレスリーがカバーしてヒットしたBlue Suede Shoes。もともと、作って歌ったのは、カール・パーキンス。
知らなかったねぇ。シンガー・ソング・ライターのはしり。
そもそもロックン・ロールは、どのようにして誕生したんだろう?
ゴスペル、カントリー、ドゥワップ、ポップス、ブルースが合流したものでした。南部メンフィスは、そのすべてがあったんだね。
3人目は、ジョニー・キャッシュ。もう、この歌。sixteen tons。彼が歌っていたのかぁ。
詞に「背負って増えるのは、老いと借金」とある。そのとおり!
も一つ、ghost riders in the sky。歌の最後、Yippie yi ohhhhh,Yippie yi yaaaayもう、一緒に歌っちゃいました。
あぁ、老年も荒野を目指す。風が呼んでるぜ。
最後の1人は、ジェリー・リー・ルイス。強面で、ついたあだ名がキラー。Great Balls Of Fire。
やっと、名前と曲が一致した今夜のミュージカル。
「エルビスは、もう会場を後にしました」と字幕が出て、やっと拍手と興奮がやむ。ロビーは大混雑。
落ち着いてから、僕もグッズ売り場に向かう。
「ブロードウェイ公演のCDは売り切れました。1956年セッションの音源のCDならあります」。
当時撮影された、たった一枚の写真がジャケットになっているやつ。ビッグネームになる前、一夜だけ集まった貴重な音、迷わず買う。
しばらくは、毎日聴くよ。